時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
リメイク四方山話
映画「トータル・リコール」がリメイクされるという。私は未見だが、原作がP.K.ディックであるという以外、大して評判にもならず、評価も低い作品である。一体何のためにリメイクするのだろう。ハリウッドも余程ネタがないのか。「ぼくのエリ」のリメイク「モールス」には「金返せ」の思いを禁じえなかった。「惑星ソラリス」のリメイクなどは全く観る気がしない。
ただ、「十二人の怒れる男」のロシア版は評判がよかったようだ。監督は名作「愛の奴隷」のN.ミハルコフ。さもありなん、といったところだ。
文学作品でリメイクと言えば、芥川や中島敦が筆頭に挙げられるが、いずれも単なる焼き直しではなく、近代人の宿命、危機を新たに描き出したものである。個人的には中島の「山月記」や「名人伝」は忘れがたい。後者は弓の名人が、弓道を極めた挙句、弓さえも必要としなくなり、ついには弓を忘れてしまうと言うもの。彼はここに知識人の悲劇的な宿命を描き出した。ここで坂口安吾の「勉強記」を対置させてみると面白いのだが、長くなるので割愛する。

そう言えば先日、「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク「宇宙戦艦ヤマト2199」を友人と観る機会があった。こちらはリメイクとしては極めて優れた水準に達している。この旧作はその魅力と同時に、ある種の危うさやいかがわしさを合わせ持っていた。今回の製作者達はそこを充分自覚していると思われる。あまりリアリズムを追求して陰惨な展開になっても困るが、期待は持てそうだ。庵野秀明がスタッフとして参加している事もあり、綾波もどきのキャラクターや、「エヴァ」のセルフパロディも見られた。
ただ、スターシャのメッセージ・シーンは旧作の方が圧倒的に良かった。あの静止画は今見ても美麗である。
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テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画

この記事に対するコメント
リメイクはもっと面白く出来る可能性あるんだけどな~
「トータル・リコール」は最初のを観ました。ま、それなりに楽しんで(微笑)。ブレランと比較したら気の毒ですね(^-^;
「十二人の怒れる男」…すみません。古典的名作なのに見ていません。ただ米のTVドラマ版は見ました。大好きなジャック・レモンがNo.8役で、もういい年だったのに、軽やかな身体能力を室内劇で魅せてくれて期待を裏切らず、面白いドラマだったです。
ニキータ・ミハルコフ!だぁいすき!「光と影のバラード」はロシア革命時の内戦を西部劇に読みかえちゃうし、「機械じかけのビアノ~」は苦く笑いましたぁ~。「オブローモフ」はあの¨退屈¨な大長編を、よくぞ全体の2/3で切って詩情たっぷりにしましたかと。一杯みたいのに、見てないの多くて残念です。「太陽にやかれて」だったかな…挿入曲のロシア・タンゴが忘れられなくて…今でも口ずさんでしまう。
ミハルコフ版、みたいですぅ。って、その前にちゃんと本編の「十二人」見ろよ自分(とほほ)
【2012/08/03 01:21】 URL | ふぶら #- [ 編集]

町山さんも…。
町山智宏氏が「モールス」 推しでしたが、「ぼくエリ」から観てしまうと、なるほど、のわーるさんのお気持ち、お察しいたします。 
ただ、後者の方も「モザイク」のせいで台無し。  
より、「あの規制」が厳しいのは、スェーデンなのに。
輸入盤、ブルーレイも流通しているけど、大丈夫なのでしょうか?。
【2012/08/04 00:05】 URL | ダムド #- [ 編集]

Re: リメイクはもっと面白く出来る可能性あるんだけどな~
>オブローモフ
原作は未読です。埴谷雄高がオブローモフとペチョーリンとムイシキンを対比させていましたが、私が読んだのは「現代の英雄」のみ。読んで鬱になりそう(思い込み)で、怖かったので。
オブローモフとシュトルツが「今回だけ」と、一緒にケーキを食べるシーンはジーンときましたね。「あー、この二人、本当の親友なんだ」って。あと、シュトルツの父親との別れのシーン、圧巻でした。
>「機械仕掛けのピアノ」
大分前にDVDを購入したまま、放置しています(汗)

>十二人の怒れる男
裁判員制度の宣伝映画、「審理」(監督:原田昌樹 主演:酒井法子)のラストシーンで、オマージュしていましたね。「審理」の感想については、「やっぱこの制度、ダメだろう」というものでしたが。
【2012/08/05 01:00】 URL | のわーる #- [ 編集]

Re: 町山さんも…。
>モザイク
実際は縫合痕の筈なのですが、いくらでも恣意的に運用されそうな気もしますからね。同法がジェンダーについて考える事を封殺しているという、典型的な一例です。

リメイク作としては、「七人の侍」のリメイク、「宇宙の七人」が気になります(笑)。勿論、「荒野の~」は観てますので。
【2012/08/05 01:13】 URL | のわーる #- [ 編集]

「退屈」な長編からの素晴らしい映像美
あぁ…小説の方の「オブローモフ」は、でしたら避けた方がよいかも…。
ミハルコフ版の「オブローモフ」はその映像美、描写の巧みさ繊細さが素敵でした(友情の場面もう一度見たい…)。前述の通り大長編を2/3で切って、前編の今でいうところのひきこもりさんみたいな感じから中編の「外の世界の美しさを知る」主人公に焦点当てています。後編では残念な感じに…。公開当時は「後編を意図的に捨てる事により新しいオブローモフ像を描き出した」と高く評価する人が居ました。
レールモントフの「現代の英雄」も好きです。レールモントフの詩集を原書で見つけ購入、一頁目で挫折した若き日の無謀に赤面しつつ(苦笑)。ドストエフスキーの「白痴」は…大半忘れちゃったゴメンナサイ。皆ロシア文学の「余計者」とされる系譜だとされるような気がしますが、そも「文学」そのものが「余計もの」みたいなもんでだから楽しいんじゃないか?と思ったりします。
【2012/08/05 21:59】 URL | ふぶら #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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