時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
「これに乗る者の名を死といい、黄泉これにしたがう」
船戸与一がノモンハン事件に触れて、次のように述べている。

 軍部は結果を隠し、新聞は「大勝した」と嘘をついたから、現場に行った兵隊しか「負けた」ことを知らなかった。だけど、ソ連が崩壊してから出てきた資料によると、ソ連側の被害も甚大だった。ソ連軍を指揮したジューコフという将軍は「スターリングラードも大変だったけど、一番怖かったのはノモンハンだ」と答えている。日本の資料では、一方的にソ連の機械化部隊にやられた、とされているから、小説の中ではそう書いたけど、実際は違っていたらしい。でも、当時の人間がどう考えていたかをこの小説では書いていきたいから、新しい資料を使おうとは考えなかった。(「波」2011年5月号)

これは「満州国演義6 大地の牙」上梓の際のインタビューである。思うところあったのか、新作の「雷の波濤」では上述のソ連側の被害についても語られている。この辺り、なかなかうまく組み込んであるので、興味ある方は一度眼を通していただきたい。
別に私は日本の戦果を誇りたいのではない。「戦争は兵士達を大量死に送り込むことである」というシモーヌ・ヴェーユのテーゼを確認したまでである。いかにもっともらしい御託宣を並べようとも、現場においてはおぞましい「死」がそこを支配するものである。
一方、現代の為政者達は尖閣やオスプレイを巡り、恐ろしく軽い言葉を弄ぶ。連中は、このことをリアルに想像出来ているのだろうか。過去の歴史と二重写しに見えてしまうことは、如何ともしがたい。

自己嫌悪と人間不信が募るので、今日はもう寝る。
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のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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