時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
啓蒙主義者の夢の跡
フランス語に「ボン・ソヴァージュ」という言葉がある。直訳すると、「善良な野蛮人」。18世紀の啓蒙主義者たちの間で流行した概念である。人類は近代文明によって堕落した。本来の人類の姿である未開人に学ぶべきだ、という発想から、「未開の蛮族こそ、人類の理想状態である」と理想化したものである。そこでは、「未開状態の人間はみな善良で清らかな魂を持っており、西洋人のように我欲に汚れていない」ということになっている。ここから「自然に帰れ」という命題が導き出されることになる。このように人間を「本来のあるべき姿」との対比において考察するのは、啓蒙主義者たちの大きな特徴である。
文献ではモンテスキュー「ペルシア人の手紙」、ルソー「人間不平等起源論」、かなり微妙だがディドロ「ブーガンヴィル航海記補遺」などがこの系譜に位置するといえる(あくまでも大雑把な分類である)。いつか触れる機会があるかもしれないが、このブログで屡々取り上げてきたサド侯爵もその影響を大きく受けている。
勿論、未開社会は理想状態などではさらさら無く、それぞれ固有の社会矛盾や困難が存在することを私達は知っている。現代においても、少し前までは第三世界主義という概念が流行し、キューバに理想を求めたりする人が多く存在した。今日、キューバや第三世界を支持する人の間でも、これらの社会が困難な問題を抱えていることはよく理解されている。勿論、一部の馬鹿者を除いての話ではあるが。
人間の住むところ、理想的な地上の楽園などありっこないし、だからこそ地道な努力を続けながら頑張っていくしかないということは多くの人が同意することだろう。
18世紀の思想家の夢想を追いながらそんなことを考えた。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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