時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
預言詩とその時代
マヤの予言って何だよ。わざわざ新聞で取り上げるような話なのか。ちなみに私の手元にある新聞は、天下の朝日新聞。なかなか笑わせてくれる。まあ、原発を再稼動させれば人類滅亡に一歩近付くことは確かだろうが。どうも人間というものは、やくたいも無い与太話に心惹かれるものらしい。
与太話のついでだ。予言として有名なのは、例のノストラダムスの詩篇群だろう。
ノストラダムスの本名はミシェル・ド・ノートルダム。16世紀という、ルネサンス文化の花開く中、活躍した人である。「サンチュリ(詩百篇)」と題された彼の詩集は、好事家達の論議の的になってきたことは周知の事柄である。尚、巷間伝えられる「諸世紀」の邦題は誤訳である。
ルネサンス期は宗教改革の時期でもあり、新・旧教の対立が激化した時代である。フランスではノストラダムスの晩年に凄惨なユグノー戦争が始まっている。また、同時代人のフランソワ・ラブレーが書き記すように、この時代は極端な旱魃と洪水が繰り返し発生した時期でもあった。ノストラダムスの作品はそうした不安定な世相を反映したものといえる。
澁澤龍彦は、ノストラダムスは難解で曖昧な作品を物することにより、人々を煙に巻いて巧みに世渡りをしていったのではないか、と感想を述べている。魅力的な見解には違いない。だが、ノストラダムスにそんな器用な処世術の心得があったかどうか、はなはだ疑問である。
詩人が自らの作品を預言/予言として吹聴することは決して珍しい事柄ではない。「俺の言葉は神託だ」とはランボーの専売特許ではないのである。おそらくノストラダムスは、神託と信じながら詩を書き連ねていったに違いない。早い話が、霊感とかインスピレーションといったものである。そしてルネサンスという迷信深い時代背景を考えれば、彼の創作姿勢は決して奇矯なものではない筈である。
尚、ノストラダムスの作品は、詩法としてはロンサールたちプレイヤード派の影響を強く受けているという。まさに時代の子であったことがここからも窺われる。

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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