時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
首飾りは破滅の輝き
アレクサンドル・デュマ「王妃の首飾り」読了。フランス大革命の序曲となった首飾り事件を題材にした小説である。だが、やたら長い割には今ひとつの印象を受けた。

本作に描かれる首飾り事件のあらましは次の通り。
王妃、首飾りの購入を断る→ポルトガルの偽大使から購入話→宝石商ベーメル達、確認のため再度王妃にお伺いを立てる→王妃再び断る→ロアン枢機卿(すうきけい)が動き、王妃のために首飾り購入→事情を知った王妃、仕方ないと自ら購入を決め、前金支払う→月々の支払いが困難となり、前金を解約手付けとして首飾り返却→ジャンヌ横領
その後、発覚を恐れたジャンヌがニコールを替玉にして、偽王妃と枢機卿の密会をお膳立てする(この辺り史実と順序が逆か?)など一悶着も二悶着もあるのは周知の通り。尚、この小説ではカリオストロ伯爵が裏で色々糸を引いているらしいのだが、目的が不明のままである。
尚、ウィキペディアで、この小説では「王妃の陰謀説が取られている」と記載されているのは誤り。

「ブラジュロンヌ子爵」にも言えることだが、デュマが王侯貴族の恋愛模様を描くときはいつも精彩がない。王妃をはじめ、シャルニー伯、アンドレ・ド・タヴェルネ(女性)、フィリップ・ド・タヴェルネ、誰一人としてシンパシーを感じさせない。正直、彼/彼女らの言動を追うとき、読むことに苦痛すら覚える。登場人物として存在感があるのがジャンヌ・ド・ラ・モット伯夫人だけ。それも後半は尻すぼみに終わってしまう。裁判の場面はあっさりし過ぎだ。執筆時期と70年の開きはあるが、本国の出来事であり、有名な事件でもあるので説明を要しないと考えたのだろうか。だが、公平に見てアニメ版「ベルばら」の方がドラマとして出来がいい。

史実のカリオストロ伯がこの事件に巻き込まれたのは事実である。これ以降彼の運命は凋落し、晩年はローマにて陰謀の嫌疑で逮捕。結果、獄中で餓死している。
詳しい内容は忘れたが、モーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」シリーズの女賊にこの栄誉ある(?)名が冠せられていることはご存知の通り。この女性、ルパンと丁々発止の死闘を繰り広げ、しまいにはルパンの息子まで攫っていったつわものである。こちらもそのうち読み返してみようと思っている。

reine

berubara00
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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