時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
人身の自由について(1)
もう五年程前になるだろうか。地元のある集まりで、憲法に関するレポートを行ったことがある。私が受け持ったのは「人身の自由」に関するものだった。独学で色々調べたので、かなりつたない点があることは否めないのだが、折角の憲法記念日であるので当時の会報からここに再録しておく。尚、本文中にある「先日」などの文言は、全て当時の時点における概念であることを申し添えておく。

この度、僭越ながら、お話をさせて頂くことになりました。本日は人身の自由、条文でいうと31条から40条までに該当する部分ですが、これについて、皆さんと一緒に考え、勉強していきたいとおもいます。

 「人身の自由」は「心の自由」とともに自由権を構成しています。身体を拘束されない自由です。第18条「奴隷的拘束からの自由」を受けたものとされ、条文としては31条から40条です。
なぜ、憲法にこのような規定があるのかというと、公権力への警戒があるからです。皆さんご存知のように、憲法は市民からの統治権力に対する命令です。国家権力は私ども市民を蹂躙してはならないという命令なのです。
 憲法第99条には「天皇または摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。ここに列挙されているのは、私たちの権利を侵す可能性がある人、そのブラックリストです。この人たちに対して、「このルールを守りなさい」と定めたのが憲法です。
 世界的に見まして、近代以降の国家観は、国家権力というのは危険なものだ、暴走し得るものだ、どのように徳のある人間が統治しても、必ず危険な要素をはらんでいるというのが前提です。だから法によって制約を設けようとする、それが憲法なのです。
 私たちの国では、国家と道徳が強固に結び付いていました。戦前の「國體」思想では、「國體」が真・善・美、つまり道徳の体現者であるとみなされていました。政治学者の丸山真男は、『超国家主義の論理と心理』で、この事情を厳しく指摘しています。
以上の点を踏まえまして、逐条的に見ていくことにします。

 まず憲法第31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、またはその他の刑罰を科せられない」。ここでは「罪刑法定主義」と「法の適正手続」が定められています。罪刑法定主義というのは、法律なくして処罰なしということで、刑罰権が恣意的に行使されることを防ぐのが主旨です。道徳的に悪であっても法に反していなければ処罰されることはありません。法と道徳は違うものであることは、近代以降の原則です。
 次に「適正手続」です。この条文に「適正」という文言はありません。これは、制定時に米国において、「法の適正手続」の概念がしばしば悪用されたため、憲法草案を作成したニューディーラーたちが、この文言を避けたという事情があります。しかし、憲法第31条は手続きの適正を謳ったものであると、現在では見解が一致しています。公権力の不合理かつ違法な権力行使を厳しく戒めているということです。なお、この条項は刑事手続きを定めたものですが、今では、すべての行政権力の行使に適応されるものとみなされています。(続く)

kuma01
スポンサーサイト

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/864-1ab71746
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター