時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
寓話のダイナミズム - 花田清輝のこと
小沢一郎の無罪判決は当たり前に予想できた事柄なので、あまりコメントすることもない。強制起訴で大はしゃぎしていた連中は何だったんだ。ところで、その陰に隠れた感のある、珍太郎の「みんなの前で殴るぞ」発言。79歳のガラスの拳が心配だが、やりたければやってみたらいい。勿論、間髪をおかずに世界中に配信されるが、「みんなの前で」と言っている以上、願ったり叶ったりだろう。それにしても、前にも言ったがこの男、血まみれで日本刀振り回してストリーキングでもしない限り、支持を集め続けるんだろうな。

昨日掲載した文章で花田清輝の話に触れたので、少し補足。花田が執筆したラジオドラマに「私は貝になった」というものがある。「私は貝になりたい」の主人公が、めでたくアサリに転生し、「何だっておみおつけの具なんかに・・・」とヤドカリに愚痴をこぼす。そこへヒトデがやってきて、妻と子供の目の前であえなく昇天。気が付くと柳の木に転生し、身動きもとれず惨めに過ごす身分に不平たらたら。すると自動車が衝突してまたもや昇天、川原の丸い石に生まれ変わる。「すっかり角がとれちまったせいか、ハラもたちません」と語る主人公。子供に宙に放り投げられ、「ああ、私は自由だ!」とつぶやく。そこでスピノザの有名な警句。落下する石は自分では身動き取れないにもかかわらず、自由意志で動いていると思い込んでいる・・・
いかにも花田らしい、人を食ったような寓話だが、なかなかこの主人公、解放されるわけにはいかないようだ。花田の文章がどれも寓話として読めるというのは多くの人が指摘する事柄である。だが、彼の作品の特徴は単一のイデーに還元されない要素が存在する点にある。「だが、はたしてそうか」というのが花田の口癖だが、ひとつ所の結論に落ち着くのではなく、常に動的なダイナミズムを維持しながら、バタバタと展開していくのが花田の文章の魅力だった。
花田作品に言及する人も少なくなったようだが、もっと評価されるべき作家である。久しぶりに花田著作集をひっくり返してみたくなった。
スポンサーサイト

テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/855-0e80127b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター