時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
模倣を超えて - 精神のリレー
埴谷雄高に「ドストエフスキイへの感謝と困惑」(「天頂と潮汐」所収)という文章がある。内容は、ドストエフスキーは今日の文学に対して絶大な影響を齎したが、現在、あたかも人類の予言者のように捉えられてしまい、ある種の作家達に対して負の呪縛となってしまったというものである。換言すれば、ドストエフスキーのエピゴーネンに成り下がってしまうということだ。例として埴谷はサルトルとカミュを挙げているが、これには異論があるだろう。だが、偉大な先人の作品に接する際の、普遍的な陥穽には違いないと思う。
しかし、これはそうした先人の業績を避けて通るということを意味しない。忌避することは怠惰を意味する。ゲーテを読んでいないことを得意げに語っている脚本家がいたが、そんなことは何の自慢にもならない。
要は付き合い方ということだ。すぐれた先人達の業績とよく付き合い、よく学ぶこと。このことの意義は決して小さくない。神と悪魔が一身のうちに同居するような、ドストエフスキーの作中人物群が私達に教えてくれることは、まだ多い筈である。
テレビ報道をはじめ、薄っぺらな人間観に基づいた言説が飛び交う現状を見るにつけ、なおさらその感を深くせざるを得ない。勿論、自戒を込めて、である。

tencho
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井の頭にて
ドキドキ、ぶるぶる…そ、それってもしかして、某アニメ作品の脚本家ですか?なんだか、ツイッターで色々呟いているみたいですけど。 


>テレビ報道  


早朝から「少年犯罪2連発」報道…煽りまくり。遺族感情を悪利用してまたぞろ「俗流若者論」ですか。 


先が見えます。 


厳罰化とポピュリズムに満ちた「裁判員制度」を廃止しろ。
【2012/04/25 01:55】 URL | ダムド #- [ 編集]

Re: 井の頭にて
>脚本家
ツイートを追うほど関心はないのですが、あの人は人間を描く力はあると思います。ただ、手法で勝負しているような懸念は感じますね。また、そこに吉本隆明のいう「かえりの眼」が感じられないことは不満に思います。

>厳罰化
ツイッターでも書きましたが、厳罰化のロジックって「準備はできた、いくらでもやってくれ」って言ってるように聞こえます。単に処罰感情を満たしたいだけ・・・
【2012/04/25 21:44】 URL | のわーる #- [ 編集]


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Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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