時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ジャクソン・ポロックを受け止めて
桜の花咲き乱れる中、ジャクソン・ポロック詣でに行く。展覧としては、左程悪くない。そこそこ人は入っているが、佐伯祐三展や、ダリ展の時のような、人の頭しか見えない状態は避けられた。どちらかというと、初期作品の展示に力点があるように思われ、もう少し全盛期の作品を多く並べてもよかったような気もする。
ポロックといえば、ポーリング(ドリッピング)。パネルやカンバスを床に置いて、絵の具を注いだり、叩きつけたりする技法がよく知られている。口の悪い人はどれも同じようなものと言うだろうが、実際には「作る」ことにこだわった人だと思う。
大岡信がポロックの土俗性を指摘していたが、的を射た論である。インディアン・アートのプリミティブな美学を自らの感性によく取り込んでいるのだ。
有名な「カットアウト」は初めて実物を観たが、題名のとおり絵を切り抜いてあるんだな。画集で見た時は分からなかった。晩年のブラック・ポーリングになると、前衛書道のようなものだ。私は色彩豊かなポーリング作品の方に魅力を感じるが、晩年の作品も見直されていいかもしれない。とはいえ、彼にとってもひとつの過渡期だったのだろう。当時、相当苦悩していたと聞く。結局そこから抜け出せないまま交通事故で死んでしまった。あまりにも早すぎる死であった。
何やかや言っても現代美術の礎を築いた人だ。シュルレアリスムの系譜は今でも持て囃されるが、ポロックのようなアンフォルメルの系譜はとっつきにくく映るかもしれない。取り敢えず、独特の「乱雑な秩序」ともいうべき作風、カンバスに固定化された暴力的な色彩に、巻き込まれてほしいと思う。

Pollock
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何だか見たくなってきた~!
「カットアウト」…って、そうなのか!と、だんだん見たくなってきたポロック展です。
見渡せばネット世界は言わずもがなですが、世の中にあふれているのは意味と効果と知識の言葉と売上高や経常収支の数字、または主義主張の胴間声と冷ややかな軽蔑の 嘲笑とか。やったらめったら「理解しろ」「賛同しろ」「さもないと」的なドーカツも一山幾らの安売りしてるし。そういうのも実はキライじゃないんですが(笑)、時に「あ~っ!ウルサーイ!」とか思ってしまって。
意味とか主張とかばっかじゃ疲れるョー、時には「単に、色彩」とか「そこに躍動感なんかあるっぽい」、「わかんなくていいから、ただ見る(聴く)」「どごん。(衝撃を受け止めた時の擬音w)」…が最近不足しがちな自分。見たくなりました。
【2012/04/08 16:41】 URL | ふぶら #- [ 編集]

Re: 何だか見たくなってきた~!
> 「カットアウト」
ちょっとフォンタナがカンバスに穴を開けていたのを思い出しました、あそこまで意識的なものではないようですが、予感はあったかもしれませんね。
オマケで無料になる常設展は玉石混交ですが、なかなか面白いものもありました。ただ、あまり欲張ると疲れます(笑) 岡本太郎がどれだけのインパクトを持ったかよく判りました。
【2012/04/08 23:42】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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