時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
「この国は危ない/何度でも同じ過ちを/繰り返すだろう」
広河隆一「チェルノブイリの真実」(1996年刊)を読む。実はこの前に松岡信夫「ドキュメント チェルノブイリ」(1988年刊)という労作を読んでいたのだが、本書を読んでイメージがだいぶ変わってしまった。松岡本の出版後に明らかになった真相により、事件の様相が一変しているためである。
よって、チェルノブイリ本はなるべく新しいものを読むことをお勧めしたい。例えば事件の原因ひとつとっても、当初は人為的ミスと喧伝されていたのだが、実際は発電所そのものの構造的欠陥による可能性が高いことが明らかとなっている。本書にしても、10年以上経っているため、かなり現在の情況とは変わっている部分があるかもしれない。

福島原発の話も登場する。建設時に設計図が間に合わないまま工事を進めてしまったため、原子炉が基礎に合わなかったとのこと。そして建造物をよけながら配管を繋ぎ合わせた所、あちこち継ぎはぎだらけになってしまったという。「ある作業員はその配管の迷路にヘルメットがつかえてしまい、携帯用の放射線検知器が警報を発し続ける中、ようやくそこを脱出した(中略)その人は暫くして死亡したが、東京電力は放射能との因果関係を認めていない」
今後、同じようなケースが予想されるが、東電が因果関係を認めることはないと思う。既に作業員で死亡者が数人出ているが、因果関係を検証する姿勢そのものがない。
こうした被曝との因果関係論で、重松逸造の悪行が浮かび上がってくるのだが、これについては方々で語られているし、私も気分が悪くなるのでここで繰り返さない。この人物の言動がどれだけチェルノブイリの人々に被害を与えたか、考えただけで胸がムカムカする。

チェルノブイリに話を戻す。ぞっとするのは、多くの人的被害を出した消火活動が、全て無駄であった可能性が指摘されていることである。著者によれば、原子炉火災が収束したのは、燃える物が無くなった為、自然鎮火した可能性が高いという。原発事故については決定的な対処法が無いという事だろうか。そうなると、現在福島では何が起こっているのか?本当のところは誰にもわからないのである。

こちらは2011年の新装版。見た目そんなに変わってないけど。
ドキュメントチェルノブイリドキュメントチェルノブイリ
(2011/05)
松岡 信夫

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チェルノブイリの真実チェルノブイリの真実
(1996/04)
広河 隆一

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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
インティファーダ
消火活動が全て無駄であった可能性が高い…ということは、日本の場合は「軽水炉」…専門家ではないので詳しくは分からないけど、震災後の海水注入冷却活動ももしかして…。 
福一の放射能汚染水はまだ排出されている筈。


昨日、B'zの稲葉とかいうヤツが「Police On My Back」をカバーしている事を知ってしまった。 
いまだに怒りが……。
【2011/11/25 17:49】 URL | ダムド #- [ 編集]

NAKBA
> 震災後の海水注入冷却活動ももしかして…。 
あの時点で既にメルトダウンしていた筈です。給水した水は建屋に流れ出しているので、燃料の状態とどう関係しているか、現状、人類には把握不可能です…

> 昨日、B'zの稲葉
さっきつべで拝見したのですが、最初の十数秒でやめました。やっていいことと悪いことの区別がついていないのか…
【2011/11/26 00:12】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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