時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
残念な評伝
コリン・ウィルソン「現代の魔術師―クローリー伝」読了。
アレイスター・クローリーの評伝だが、長々しいゴシップ記事を読んだのと読後感があまり変わらない。
人間洞察も浅薄だし、資料的な部分もどの程度正確か疑わしい。コリン・ウィルソンの資料分析がきわめて杜撰なのは、大著「オカルト」を例にとってもよく知られている事である。
人間論としては、当て嵌め式の道徳的断罪ばかりが目立ち、お世辞にも出来がいいとは言えない。文学、登山、チェス、射撃など、折角、ユニークな素材がたくさん転がっているのに、この程度のものしか出来なかったのかと思うと実に残念である。
クローリーのような突飛な人を扱う場合、寧ろ実証主義的な考察を精緻に行った方が面白いものが出来ると思う。彼の生きた二十世紀初頭の時代性の中に位置づけ直すのだ。そうすると、「時代の子」としてのクローリーの別の顔が見えてくると思う。
そもそも奇人変人扱いされる人間の多くは、その時代のひとつの側面を典型的に表していたりするものである。ノストラダムスしかり、サド侯爵しかり、である。そこを見据えた上で、今日的な再評価なり、古典としての位置づけなりがなされるべきだろう。
ウィルソンによる評伝は、いわば一種の異常趣味に偏りすぎたといえる。結局自分の主張のダシにしただけなのではないか。とにかく残念な本だった。

gendainomajutsu
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

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エントリー記事にとは関係ないけど…、陸山会事件、小沢議員、初公判に関する大手メディアの報道ぶりが……、絶句。

【2011/10/07 01:25】 URL | ダムド #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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