時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
「もう一度、籤を引かせてください」
テアトル新宿で「一枚のハガキ」(監督・脚本:新藤兼人)を観る。このくそ暑い中、劇場は満員。年配の人が多いが、大丈夫か。
映画の方は、いかにも新藤兼人らしいしっかりした作品に仕上がっているので、意表をつかれた。年齢を感じさせない持続力は驚くべきである。
後半部は、どことなく「ふくろう」の舞台設定をを髣髴とさせる。あちらでは主人公達が脱出を図るが、本作では脱出はなされない。結局この日本の地にとどまって、人生を切り拓く事を選択する。
個人的には、今日の息苦しい社会状況をみるにつけ、脱出の解放感を描いてくれた方が嬉しかったような気もする。脱出とは逃亡を意味しない。新しい空気が欲しいだけなのだ。尤も、「脱出」の有無に関わらず、彼らが日々の暮らしを築き上げていく事に変わりはないので、これは表現手法の力点をどこに置くかの違いに過ぎない。
それにしても、齢100近くに至るまで、とことん人間の生/性の姿を追求し続ける新藤監督の力技には恐れ入る。大竹しのぶの力演もあり、本作は力強い一編となった。次回作にも期待したいと、密かに思っている。

スポンサーサイト

テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

この記事に対するコメント
Street fighting men. 希望
「一枚のハガキ」 
各方面から絶賛されていますね。
私の場合、新藤兼人と聞くと、何故か、五社英雄と云う人のことも想起してしまいます。今でも理由がわかりません。
 今、TBSラジオ「Dig」にて、(この時間帯のテレビ報道は、糞)にて、メインテーマが、この度の「英国暴動」なので、聴いていますが、毎日新聞 ロンドン支局の現地リポーターが、「割れ窓論者」的見地からのレポートなので、イラっとしています。但し、MCの大根氏と、同じ毎日新聞経済部の藤吉氏の見地が違うので、逆に面白いです。(因みに大根氏は大のパンクロックファン)英国は、世界一厳しい監視カメラ網で知られています。確かに一時的に効果は、今回の件にも生かされているようですが、結局、人間は、たとえ権力者だろうが被権力者であろうが「貧すれば鈍」してしまう生き物なんだと思います。
【2011/08/12 23:47】 URL | ダムド #- [ 編集]

Know your rights
>五社英雄
昔、「226」を観たことがありますが、残念ながら殆ど内容を覚えていません。「映画秘宝」の「十手舞」評は笑えました。

>割れ窓論 
完全に支配のための方法論ですね。治安原理主義を推し進めると、社会がどんどん全体主義化していくものなのですが。「自由度がゼロであれば犯罪は起こらない」というように。
【2011/08/13 20:08】 URL | のわーる #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/564-65f916ca
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター