時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
アメリカの終焉
E・トッド著「自由貿易は民主主義を滅ぼす」読了。
エマニュエル・トッド、ポール・ニザンの孫でオリヴィエ・トッドの息子。
本書は彼の来日時の講演とインタビュー、対談を収録したものである。
述べられている事柄は多岐にわたるが、いくつか簡単に纏めると次のようになると思う。

まず、経済的自由主義と政治的自由主義は全くの別物である。寧ろ両者は反比例する関係にある。
現在、自由貿易は経済危機に見られるように行き詰まりを迎えており、プラグマティックな調整機能として保護主義を導入することが有効である。これは「保護主義は正しい」というのではなく、必要に応じて経済的自由主義と保護主義を使い分けようということである。
アメリカの金融工学は不確定性を排除した疑似科学であり、最終的にこの国は虚栄の繁栄を作り上げ、サブプライムローンのような詐欺活動に至り、破綻した。現在、アメリカ型の繁栄を目指すことは無謀である・・・

その他、識字率の問題、家族構造の問題、サルコジ選出の社会的背景の分析(石原に通じる?)など、重要な提起は幾つもある。彼の持論の信頼性について私は判断する立場には無いが、「経済的自由主義と政治的自由主義は全くの別物である」という命題は、これまで漠然と感じていたことを明確に整理してくれた感があり、参考になったと思う。TPPの問題から、昨今の原発問題について考察する際にも、学ぶ点は大いにありそうである。
尚、トッドの核武装論については私は支持しない。彼の論には「核兵器それ自体の持つメッセージ性」についての考察が、欠けていると思われるからである。

自由貿易は、民主主義を滅ぼす自由貿易は、民主主義を滅ぼす
(2010/12/22)
エマニュエル・トッド

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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