時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
EVERYTHING MUST GO.
出崎統を偲んで「クラナド」(監督:出崎統 脚本:中村誠)を観る。
いわゆるギャルゲーを原作にした映画作品。一口に言うと、これは恋愛物というよりは、絶望から再生に至る物語である。
出崎の演出はいつも通りだが、止め絵はきちんと描き込んでおり、「AIR」のときよりも綺麗である。特に渚が転ぶカットは微笑ましい。本来なら杉野昭夫並の硬質のキャラクターデザインが望ましいのだが、まあそれを言っても始まらないだろう。
難点は、女生徒達と主人公達の親密さが今ひとつ書き込まれていないので、後半が唐突に見えたことである。せめて「いつも一緒にいる仲間達」という描き方を前半で行っていれば、もう少しスムーズにいったのではないか。
「だんご大家族」のくだりは、家族主義イデオロギーを連想させ、心配になったものだが、作中での「家族」のイメージはもっと広範な仲間達を指すものと考えられる。後半、主人公のために仲間達が一肌脱いでいくあたりの結束感は見事だった。
尚、本作では「父親との葛藤」が重要な契機をなしている。主人公の父親は妻を失って立ち直れない気弱な男である(主人公も同じ人生を反復しようとする)。この点、「おにいさまへ・・・」の信夫マリ子の父親とは対照的だが、不器用ながらもわが子を立ち直らせようとする姿は共通しており、悪くない。
最後の再生に至る部分は、議論の分かれるところだが、決まった正解などある筈が無い。嘘でもいいから、何らかの回答を作劇において提示することが重要なのだ。
「萌え」という、この監督にとっては不自由な制約がある中、よく健闘していると思えた。

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(2008/03/07)
野島健児、桑島法子 他

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Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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