時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
さらばゴルゴ・・・
世知辛い話を連投してしまったので、本の感想を記す。
船戸与一「おろしや間諜伝説」。
小説版「ゴルゴ13」第三弾。結局二回読んでしまった。北方領土における石油採掘の利権をめぐり、様々な謀略が交錯する。ストーリーはほぼ原作の漫画を踏襲しており、真新しい点はあまり多くない。
ただ、ヴェトナムのグエン・ドンミンやウクライナのニコライ・オチョフといった、国家から見捨てられた登場人物の存在は印象に残る。国家は人間を散々利用しつくした後、用済みとなった彼らを遺棄していく。必要あらば抹殺も辞さない。この辺りの船戸の眼差しはここでも健在である。
ところで、この話、ゴルゴ13は本編には全く登場しない。最後の暗殺者もゴルゴである必要性は全くなく、実際、登場人物も否定的なセリフを吐く。劇中で語られるように、いつの時代にも、政治的、経済的な行き詰まりを打開するため、暴力装置が行使されるものである。これは「満州国演義」執筆中の、船戸の総括であると考えていい。そこではもはやゴルゴ13という固有名詞すら必要はない。小説版「ゴルゴ13」の最終巻がこのような形で幕を閉じているのは、船戸による、ゴルゴへの批判であり、決別の意思表示であると思えた。

おろしや間諜伝説 (ゴルゴ13ノベルズ)おろしや間諜伝説 (ゴルゴ13ノベルズ)
(2011/04/25)
船戸 与一、さいとう・たかを 他

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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