時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
昭和暗殺秘録
船戸与一著「満州国演義4・炎の回廊」読了。おそろしく情報量の多い本だった。
天皇機関説論争から永田鉄山暗殺事件、2.26事件へと至る時代を描いているのだが、その過程の分析は極めて精緻である。
映画などでは2.26事件についてはロマンチックなイメージで語られることが多いが、船戸の筆致は徹底的に距離を置く。勿論、農村の窮状等、決起の背景は丁寧に描かれている。だが、軍隊内の力関係はかなり複雑で、単純な評価を許さないものがあるようだ。「皇国」、「国体」といった、感情的で空虚なスローガンのみに捉われてしまうと、なかなか見えてこない部分があると思う。このあたり、第五巻の「灰燼の暦」に引き継がれているので、丁寧に追ってみたい。
それにしても、図書館で借りるには向かない本だな、これ。一読しただけでは消化不良を起こすだろう。手元に置き続けて精読することをお勧めしたい。あ、勿論、小説として面白いことも請合います。

※尚、本シリーズは五味川純平の大著「戦争と人間」とよく比較されている。私は未読だが、興味ある方は読まれるといいかもしれない。

炎の回廊―満州国演義〈4〉炎の回廊―満州国演義〈4〉
(2008/06)
船戸 与一

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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