時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
サルトルと「飢えた子供」
「飢えた子供の前では「嘔吐」など何ほどのものでもない」
サルトルが「ル・モンド」でのインタビューで答えたセリフである。
言うまでもなく、「嘔吐」はサルトルの代表作。サルトルが文学を否定したとして、この発言が物議を醸したのはよく知られている。この場合、インタビュアーのジャックリーヌ・ピアティエが女性だった為、サルトルがスケベ心を起こして、つい格好をつけて口が滑ったと言う説が有力である(西永良成など)。
私もこの説はかなり正鵠を射ていると思う。およそサルトルという人から文学を取ったら何も残らない。彼の晩年のライフワークはフローベール論「家の馬鹿息子」だった。この莫大な論稿を前にすると、彼にとって文学が骨がらみの問題であったことがよく判る。
いずれにせよ、先の命題は比較の問題として、あまりにも無理がある。今では狂信的な政治主義者以外、あまり相手にされることのない代物である。
およそ創作活動においては、役に立とうが立つまいが、作家は自分の関心事に基づいて作品を紡ぎ出すだけであり、「党に奉仕する作品」だの、「国策に奉仕する作品」など、愚劣の極みでしかない。書きたいものを書け。それだけだ。政治的意義など結果論でしかない。

さて、近頃ある高名なお笑い芸人が、「震災の前ではお笑いは無力だ」とのたまったと言う。
彼が震災にショックを受け、珍妙な被り物をしたりするようなお笑い芸に集中できなくなることは充分理解する。だが、それはあくまでも彼自身の個的な問題である。
お笑いに被災者を救うことは出来ないかもしれない。だが、このような事は、芸人達はそもそも初めから覚悟していた筈ではなかったか。少なくとも、「無力だけども俺にはこれしかないんだ」と活動を続けている人たちを、否定するようなことはして欲しくないと思った。
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Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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