時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ビン・ラディン大いに語る
「オサマ・ビン・ラディン発言」(ブルース・ローレンス編 河出書房新社)を読了する。
ビンラディンの主要な声明やインタビュー(無論、信憑性のあるもの)を集めた書物である。キワモノ志向もここまで来たかと言われてしまいそうだが、彼らの言い分にはやはり興味がある。
内容的にはアメリカ批判、イスラエル批判、中東の世俗的権力者批判である。大雑把に見てアメリカ批判の部分には左程奇矯な点はない。アメリカの資本主義は自らの利益のためにムスリム達を蹂躙してきた、というものであり、チョムスキーなどのアメリカ批判とも共通する。イスラエルについては多言を費やす必要もないだろう。
テロリズムも辞さない<ジハード>を呼びかける点では、さすがにドン引きするが、これは多くのムスリムも同様だと思う。多くの若者の情熱を<死>へと駆り立てる煽動は、立場の如何を問わず、あまりにも無責任だ。
また、彼はしばしばイスラム圏に駐留する米軍を「十字軍」という文言で表記するが、これにも異論がある。ブッシュJrのような徒輩はともかくとして、アメリカの軍事政策の動機は宗教にあるのではなく、利権にある。わかった上で用いたレトリックなのかは不明だが、一応指摘しておく。
中東の権力者批判については、今日の中東情勢を見る限り、かなりの部分、当たっているといわざるを得ないだろう。腐敗した王族、独裁者が人々の苦しみをよそに権力をほしいままにしている事実はビン・ラディンのロジックでさえも許されるものではない。無論、今日のジャスミン革命の動機は、これら権力者が教義を裏切っているからではなく、人々を裏切っているからである。このことは強調するまでもないだろう。
その他、細かい部分では、彼が用いる譬え話などで興味深い点は多々あった。また、金利ビジネスを強く非難していることなどは意外だった。このあたりは、彼が原理主義者たる由縁なのだろう
書物としてはかなりボリュームがあるが、内容的には繰り返しが多く、半分ほど読むと飽きてくる。だが、彼の主張に耳を傾けるためには恣意的な編集は避けるべきであり、このような体裁をとるのは致し方ないことだろう。
読み通すには少々体力がいるが、決して無駄ではなかったと思う。

オサマ・ビン・ラディン 発言オサマ・ビン・ラディン 発言
(2006/08/29)
ブルース・ローレンス

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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