時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ファシズムの足音が聞こえるので、平岡正明の話をしよう。
仕事帰り、歯医者に行く。ここ数ヶ月、勤務時間のシフトが大幅に変更になったせいか、一日が過ぎるのが実に早い。油断すると、すぐ夜中になってしまう。これは辛いことだ。
「同時代批評 特集:平岡正明という思想」を購入。岡庭昇などはどうでもいいのだが、足立正生が寄稿しているし、平岡本人のエッセイも数本収められているので、購入。
私は平岡の八方破れの文体になかなか馴染めず、どうしても好きになれなかった。筒井康隆や澁澤龍彦の周辺で文章を寄せていたのは知っていたが、どちらかというと敬遠、反撥があったと思う。政治思想面で、吉本隆明から「三馬鹿大将」(他、太田竜、竹中労)と命名された影響もあったかもしれない。「犯罪者同盟」という物々しい名称を知ったのはずっと後だが、何故かこの時はあまり驚きは感じなかった。
まともに向き合うようになったのは、晩年の「若松プロ 夜の三銃士」からである。ある程度歳をくったせいか、「こういうのもありだよな」と思うようになり、そのスタイル(文体)が、落語に多くを負っていることも理解するようになった。その後、「チャーリー・パーカーの芸術」「あらゆる犯罪は革命的である」「美空ひばりの芸術」等を読み、彼の独特の世界観に馴染むようになっていった。「これは幾らなんでも買い被りじゃないか」と思うときも往々にしてあるのだが、概して、その読書体験は愉快なものだったといえる。
彼の訃報に接したのはそんな最中だった。「いい人は早く死ぬんだな」と若松孝二が呟いたという。少なくともまたひとつ、つまらない世の中になったことは確かだ。

hiraoka
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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