時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
「わしら、どこで道を間違えたんかのう」
新文芸座で「BOX 袴田事件 命とは」(監督:高橋伴明 脚本:夏井辰徳・高橋伴明)を観る。
題名からわかるとおり、冤罪といわれる袴田事件を描いたノンフィクションである。序盤の取調べの場面など、警察・検察のあまりの憎々しさに、思わず叫び声をあげたくなった(石橋凌らが好演)。まるで「ポチの告白」並にエグいのだが、実際はもっと酷かったらしい。監督に言わせれば、リアルに描くと嘘臭くなるので、抑制して描いたという。
新たな「物証」が提示される場面では、まさに先日のフロッピー事件を思い出した。決して絵空事ではないのだ。そう考えると、これまでにどれだけの無辜の民を絞首台に送り込んできたか、想像するだに恐ろしい。
本作は幾分、主人公の裁判官をいい子に描きすぎている感があるが、映画として描く以上、致し方のないことだろう。あまり突っ放すと、視点が宙ぶらりんになってしまう。
また、「仁義なき戦い」の名台詞が登場するあたり、なかなか心憎かった(「仁義なき戦い」は現代社会のありようをメタファーとして描いた作品である。この点は強調しておく)。
冒頭の「かごめかごめ」は、今も拘置所の中にいる袴田被告を表しているが、籠の中に閉じ込められているのは苦悶する主人公の姿でもある。ここは作中の「人を裁くということは、同時に自らが裁かれることである」という台詞に対応している。
昨今の有罪断定・厳罰パラノイアともいうべき風潮を見ると、人を裁くこと、人の人生を破壊することの重大さに今一度思いを致して欲しいと思う。月光仮面にはもううんざりだ。

スポンサーサイト

テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/209-8b49f81d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター