時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
鬼さんこちら、手のなるほうへ
「鬼婆」(監督・脚本:新藤兼人)を観る。
様々な寓意が感じられる作品である。南北朝時代を舞台にした時代劇の体裁をとっているが、この戦とは、先の大戦を表していることは間違いないだろう。そのため、戦でわが子を失った老婆の心情が生々しく突き刺さる。
この主人公達は落ち武者達を殺害し、鎧、金品を奪い、生計を立てている。手傷を負った侍達を容赦なくぶち殺すあたり、まさに鬼の振る舞いだが、乙羽信子の老婆ばかりが鬼なのではあるまい。この登場人物は全て鬼の道を歩んでいる。
生きるために鬼となる。ここでは鬼の道こそが人の道である。そして本作を最後まで見通すと、鬼畜外道の振る舞いがすぐれて人間的に思えてくる。「人非人でもいいじゃないの、私たちは生きていさえすればいいのよ」という太宰治の台詞を思い出した。
「わしは人間じゃぁ」善悪を超えた、剥き出しの人間の生を抉り出した、怪作だった。

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(2001/08/10)
乙羽信子吉村実子

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Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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