時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
道遠くして日暮れないよう願いたい・・・
昨日予告した「ガラスの仮面」45巻の感想を記そう。
まず、姫川亜弓の失明から。いつもながらムチャな展開だ。
失明して栄光の座を勝ち取ったとしても、聴衆、関係者全員が後味の悪い思いをする訳だし、誰が喜ぶわけでもない。むしろ、コンディションの悪い状態で演技を見せることこそ非礼に当たるだろう。これまでの経緯を考えると、この二人はお互いベスト・コンディションで競わなかったら意味がない。月影千草の余命は理由にならない。
と、相変わらず穴だらけのリアリティだが、別に今に始まったことではないし、これまでも勢いで乗り切ってきたわけなので、これ以上拘泥はしない。最終的に納得させてくれればそれでいい。
次に紅天女。
時代劇=現代劇というのは基本事項であり、真新しい発見ではない(無論、電信柱が出てきたりするのは論外)。これはむしろ読者向けの解説であるといっていいだろう。
さて、劇の内容であるが、これがどうも胡散臭い。
人も神も大いなる理(ことわり)によって生かされている云々という世界観は、気宇壮大であるが陳腐である。これは言い換えれば、全て生きとし生けるものは、大いなるものの下にある兄弟であり、ひとつに繋がっている、ということである。手塚治虫が「火の鳥」や「ブッダ」で展開しようとしたテーマを思い出すが、どうも壮大な無内容としか思えない。人間は愚かだ、などと言い立ててみても、何も始まらないだろう。作者は自作の宗教にのめり込んでいるといわれるが、この先、作劇に妙な説法を持ち出そうとするならば、不安が残る。
何よりも懸念されることは、「自分は途轍もないものを描いている」という妄想に陥って、作者の筆が止まってしまうことである。埴谷雄高の「死霊」がいい例だが、本来最高のクオリティで作品を完成できた筈なのに、必要以上に観念を背負い込んで停滞、挫折してしまうのは勘弁して欲しい。そう思えてならなかった。

※他、作画についても一言あるのだが、別に述べる機会もあると思うので、今回は外す。

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(2010/09/30)
美内 すずえ

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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