時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
エッフェル塔と幽霊船
ピエール・カミ「エッフェル塔の潜水夫」を読む。
ピエール・カミは、「ルーフォック・オルメス」や「クリク・ロボット」などに示されるように、奇想天外なナンセンスを得意とする人なのだが、「潜水夫」は、うって変わってオーソドックスな冒険小説の体裁をとっている。そのため、ナンセンスを期待した人にとっては物足りない感が無きにしも非ず。邦訳が少ないことから、わが国では本作がカミの代表作のようになってしまっている。しかし、この人の本領はナンセンスにあるので、読んだことのない人はそちらに触れて欲しいと思う。
序盤に主人公らしく振舞っていた少年が、途中から完全に脇役に回ってしまうなど戸惑う点もある。話の辻褄合わせも強引なので、どうせやるならナンセンスに徹したほうが良かった。
そうした欠陥も持つが、中々愉快な冒険小説であることは認めていい。この人にはこんな引き出しもあるのだ。わたしはこの作者をヴィアンになぞらえたことがあるが、今回はシューのような作風に転じたといえる。
作者の全体像を知るためにも、もっと多くの翻訳が出て欲しい。本国でも絶版状態が続いているようなので。

尚、ちくま文庫版の本作は、挿絵が真鍋博(星新一の小説でお馴染みの人だ)、解説は赤川次郎だった。
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Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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