時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
錯乱の断想
原発再稼動を後押しし、人々の暮らしを破壊する協定を推し進め、汚職事件で辞任した男が「英雄」として奉られる、それがこの国の現状である。これに疑問を抱き、異を唱える人間が「変な人」あるいは「異常者」として、周囲から白眼視され、蔑み、嘲弄をもって迎えられる。それもこの国の現状である。

多くの人々にとって、「文句を言わない、何もしない、このままでいることを望む」ことが、人としての嗜みとされている。これは、「このまま言われるがままに破滅する」ということを含んでいる。増税に文句を言いながら、増税政党を勝利させる。平和を望むと言いながら、戦争政党に勝利させる。何かよくわからないけど、そういうものだから。全ては偉い人のなすにまかせよ。嫌なら対案を出せ、苦しければ対案を出せ、死にそうならば対案を出せ。自らがシャドウ・キャビネットになれなければ、文句を言う資格も無いとされる。
取り返しのつかない原発事故は、既に収束したものとされている。実際、多くの人はそう考えている。「線量が高い?そうだねえ」と語りながら、「食べて応援」の尻馬に乗り、オリンピックの成功を熱望する。

「今にわかるよ」という言葉は通用しない。何が起こっても「わかる」事などありえない。 この社会は壊滅的な敗戦から何も学ばず、震災から何も学ばず、原発事故から何も学ばなかったのだ。「何かが目の前を通り過ぎた。さっさと忘れてしまおう」それがこの社会の行った総括である。息の根を止められる瞬間に至っても、「何もしない、しようともしない自分はまともだった」という信念は揺らぐことが無い。この社会が高確率で破滅を迎えた後も、それは変わらない筈である。

政治は愚劣である。これはまぎれもない事実だ。そこから「政治的であることを拒絶することで、政治主義を否定する」という考え方が持て囃された時期もあった。だが、現実的に考えれば、これは政治を丸投げすることでしかない。権力者のしたいようにさせることは、政治主義の否定にはなりはしない。
だが、「政治主義の否定」という正しい命題はいつしか忘れ去られ、「何もしないことこそが価値である」という奇怪な公式が一人歩きした。早い話、日本人的な価値観に取って代わられたのだ。

結論など出せはしない。判っていることは、この社会が確実に破滅しようとしていることである。それも、そう遠くない将来において。
既にあらゆる方向に希望は無く、どん詰まりに見える現状である。だが、それでも私たちは晩年のサルトルと同様に、呟き続けるしかないのだろう。「希望を作り出さなくては」と。
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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント
忍び寄る”破滅“
そうさ、何を言っても無駄だよニホン人。モボクラシー(衆愚主義)が罷り通り、外国人の方が原発事故に、ニホンメディアの破滅的状況に、TPPを始めとするレッセフェール(経済放任主義)に詳しい位だから。イチエフから2億4千万ベクレル/日 の放射能を放出していると言っても誰もが相手にしてくれない、メルトダウンしている(実際にはメルトスルー、メルトアウトしている)ことすら信ぜず、被曝の危険性を言おうものならキ○ガイ呼ばわりされるから。「1984年」の如く「奴等が冷静でいられるのは奴等が理解を欠いているからだ」とTwitterで引用したが事実は違う、冷静ですらなく実際の奴等は既にキ○ガイなんだよ。TPPにしてもビジネスマンの殆どは「チャンスだ!」と批准に狂喜し、「ISDS条項なんて話し合えばいいじゃないか」と真顔で言うので、前の職場(商社)の上司、先輩、同僚、後輩に至るまで全員絶縁したよ。何れにせよ自分は「孤独」になった。

※という訳で以前よりも図書館通いが頻繁になりましたが、アガンベンの「ホモ・サケル」漸く読み終えました。読後の決意は「覚悟すること」です。今はアントニオ・ネグリの「帝国」です(その前に「マルチチュードを読んでからという相変わらずアブノーマルな読み方していますw)。
【2016/03/10 08:47】 URL | ダムド #iu8Dq9Ko [ 編集]

Re: 忍び寄る”破滅“
いつも熱心に勉強されているようで、頭が下がります。
先日、マウンティングしたいだけの思想オタクに絡まれて、うんざりしていました。こういう人たちは、とにかく自分だけが偉いと顕示できさえすればそれでいいのでしょう。他者にそれを伝え、色々考えて貰うということには一切関心が無いようです。

ちょっと他に個人的な勉強を進めている(まるで進んでないw)のと、仕事が忙しくなったため、読書量が減りました。
また、同僚の外国人に原発の話をする機会があったので、いずれ本文でも触れる機会があればと思います。
【2016/04/02 12:55】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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