時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
シリアスから遠く離れて
「ガールズ・アンド・パンツァー 劇場版」(監督:水島努、脚本:吉田玲子)の感想を記す。
まずお断りしておくが、以前に述べたように「ガルパン」とは楽しいおバカアニメである。茶道、華道と並び、戦車道なる武芸が婦女子の嗜みとして受け継がれている妙ちきりんな世界で、少女たちが母校の命運をかけ、この全国大会に出場するというもの。戦車の中は特殊カーボンで守られていて絶対安全であるという、謎のご都合主義設定まで用意されている。
TV版の冒頭にはピンクのM3リーや、けばけばしく飾られた三号突撃砲が登場する。これは製作者の不真面目宣言と理解するべきだろう。決して戦争を描くのではなく、戦車ゲーム的な世界を描いた作品なのだ。
登場人物の設定がステレオタイプであることは、しばしば指摘されていることである。他校のチームたちはそれぞれ、イギリス、アメリカ、イタリア、ロシア、ドイツをカリカチュアライズしている。だが、この手の話はシリアスに書けば書くほどいかがわしくなるので、このくらいで丁度いい。あくまでも戦車という現実の殺人兵器を題材にしていることを私たちは忘れるべきではない。但し、個々の人物の感情などは細やかに描かれている。
(尚、劇場版では旧日本軍のパロディが描かれる。「突撃はわが校の伝統ぞ!」と、意味も無く特攻して敗退し、味方を混乱に陥れる)
劇場版のストーリーは、廃校取り消しを反故にされた少女たちが、最後のチャンスを賭け、大学選抜チームとの試合を行うというもの。相変わらずスポ根物のお約束だが、やりたいことだけを描くために、余計な要素は徹底的に作品から排除している。この思い切り方は悪くない。
戦車アクションの映像的快楽を徹底的に描き切ることがこの作品の目的なのだ。ここまで純粋に娯楽に特化した作品も珍しい。
そのため、TV版のマウスに相当するカール自走臼砲から、超重戦車T28、センチュリオンMK1(大戦末期に開発された最初期のバージョン)といった怪物(変態)戦車が目白押しとなる。山を揺るがすカールの着弾音は、この映画の最大の魅力のひとつとなっている。
観覧車を打ち抜くのはスピルバーグの「1941」(私は未見)のパロディだが、これが巨大パンジャンドラムと化し、相手チームの包囲を撹乱する。流石にアクションに特化しただけあって、画作りも素晴らしい。「カメラワーク」への徹底したこだわりは、映画全般を通して強く感じられる。
その他、ジェットコースターを疾走するCV33、カンテレ演奏によるサッキャルヴェン・ポルカ、履帯無しで走行するBT-42、中央広場での遊具を駆使した攻防など、見所は欠かせない。情報量も多く、全てを語れば一日では足りないだろう。
飽きさせない二時間を堪能できる、なかなか痛快な作品だった。


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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