時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ディストピアの広告
話題のブレンディのCM、かなり辛辣で、よく出来た社会風刺だなと思ったら、肯定的に描いたつもりらしい。
エイゼンシュタインが「イヴァン雷帝」でスターリン礼讃を描こうとしたら、非情冷酷な独裁者の姿になってしまったようなものか。説得力のある真実性を追求したら、意図とは真逆の世界が生まれてしまうことがある。それが作家の持つ凝視力ということだ。
才能の多寡はともかく、こだわって作り込んだ結果、会社自体のグロテスクな社会意識が浮き彫りとなったのがこのCMだろう。未見の方は、一見して唖然とするのもいいかもしれない。

※ 話がこじれてきているようなので、少し補足する。
このCMが家畜の擬人化という見解は、結果として正しくない。提示された映像は、家畜のように生きる現代の若者たちの姿を象徴的に描いたものとなっている。食肉にされる少年の姿は、兵役に取られる青少年のメタファーだと思えたし、主人公の姿はうまく権力に取り入って成功する姿をグロテスクに描いたものと思えた。主人公が素晴らしいわけではない。この異様な世界で必死に成り上がろうとする姿がひたすら痛ましいだけだ。映像作品として見たら、その「性的」と罵倒される要素を含めて(つまり、セクハラ社会への鋭い風刺として)、辛辣な社会批判ともなりえただろう。
但し、CMとしてみた場合は完全に失敗である。広告の主体は、この主人公をひたすら称賛する。つまり、それがこの異様な世界像、すなわち、若者を家畜のように扱うブラックな現実社会をそのまま肯定するような仕組みとなっている。地獄のような社会を受け入れろ、それが嫌だったら勝ち残れ、というわけだ。
今回批判されるべきは、映像作品そのものよりも、この世界を肯定してしまう企業の価値観ではないのか。この会社の現実の業務様態が、「ブラック企業」と呼ばれるようなものかは別として。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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