時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
この不条理な時代に
「人生はシュールなんだ!シュールに負けるな!」
これは現在公開中の、「リアル鬼ごっこ」(監督・脚本:園子温)の台詞である。
滝口修造ではないが、この「シュール」という略語は私も好きではない。超現実を表す「シュールレアリスム」という言葉をつづめたものであるが、sûrという言葉は英語で言えばonに当たり、「~の上に」という意味になる。率直に言って、どうしてもしっくり来ない略語である。意味としては、「不条理」ということだろうが、こちらもシュールレアリスムとは少し食い違う。
閑話休題。映画の方であるが、これがなかなか面白い。デヴィッド・リンチを思わせるような迷宮的な世界であり、次の展開がまるで読めず、終始ドキドキし通しだった。種明かしめいた描写も決して整合性が取れているわけではない。この種の映画の見方としては、ストーリーの整合性を求めるのではなく、映画の流れに身を任せながら、その核心を掴み取っていくというのが正しいだろう。
主人公は大量死の只中に投げ込まれながら、自らの置かれた不条理な状況に抗う。黒幕は絶対的な力を行使しながら、ゲームとして主人公たちの生死を弄ぶが、彼女たちは「思い通りになってたまるか」と、最後まで抗い、その思惑を打ち砕く。
ここで私たちの置かれた現実に立ち返ってみよう。現在、私たちにとっても極めて「シュール」な事態が立て続けに起こっている。危険極まりない法案が、数の力を背景に、あっさり成立しようとしている。暴力的とさえいえる強行採決の実態を公共放送が報道しようとしない(結局渋々放送したが)。法案が危険であるばかりではない。憲法とは何か、適正手続きとは何か、そういった社会原理の根幹が、徹底的に蹂躙・破壊されようとしているのである。こうして私たちの生死が、愚昧な権力者たちによって弄ばれていく。
私たちは、まさに「シュール」な時代を生きている。これに負けずに抗い、生きることは可能か。今日、それが一番問われている。

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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