時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
イメージの闘争
櫛木理宇のホーンテッド・キャンパスシリーズ「幽霊たちとチョコレート」「桜の宵の満開の下」「支社の花嫁」「恋する週末論者」「雨のち雪月夜」「なくせない鍵」読了。よくもせっせと読んだものである。以前にも記したように、軽い読み物だがラノベ程緩くもなく、米澤穂信の「氷菓」などに近い。読んでいて実に愉快なシリーズである。
封建的なイエ制度との確執が、多くのエピソードの中軸を占めているのは興味深い。この辺、突っ込んで分析してみたら面白いと思うが、ここで取り上げたいのはそこではない。この作品の最新話に昔の学生運動の話が取り上げられているのだが、恐ろしく貧しいイメージでしか描かれていないのだ。
60年代の学生運動で強姦事件が常態化していたという噂は私も聞いたことがある。相当に色がついていると思われるが、昨今のゴロツキノンセクトの生態を見ていると、そういう状況があってもおかしくないし、第四インターが国際組織から除名を受けた事実もある。
私も生まれていない時代の話で、事実関係やその動機などは知る由もないが、フリー・セックス運動の悪用ということだろうか。カール・マルクスが聞いたら激怒しそうな話である。
「女性共有というこの思想こそ、全く粗野で無思想なこの共産主義の告白された秘密だ…」(私有財産と共産主義)
私自身の周辺に限って言えば皆真面目なもので、節度ある常識を守っていた。ジェネレーション・ギャップというものだろうか。無論、古株の活動家達はそんな話をおくびにも出さなかった。昔のこととはいえ、そんな話をすれば誰もがドン引きすることは目に見えていたからだろう。たとえ他所のセクトやグループの話であっても、である。まあ、直接の下手人がいつまでも活動を続けているとは考えにくいし、実際には、その種のクズみたいな連中が、当時いる所にはいた、という位だろうが、どの程度の規模なのかは不明である。
それにしても、運動を語る際に、その負の側面ばかりが必ず強調されるのはどういうわけか。勿論、連合赤軍問題を始め、負の側面から目をそむけてはならないというのは同意するが、負の側面だけを見て何か理解したつもりになる輩が多すぎる。
そもそも、「運動=革命」という固定観念が流布されてしまっていることが問題である。判ったようで何の説明にもなっていないのだ。この種の理解は、結局「怪しげなもの」というイメージを再生産することにしか貢献していない。その党派名に拘らず、一旦、「革命」という概念を取り払って考えて欲しい。
戦争反対というだけで、「思想的だ、怪しい」と目されてしまう状況が久しく続いている。粗野で無思想な事なかれ主義だけは、ますます圧倒的な勢力を保っているようだ。

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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