時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
3.10と3.11の間に
船戸与一の「満州国演義9 残夢の骸」に次のような一節がある。

「・・・その(一面記事の)左側に帝都空襲の大本営発表が記されていた。

本三月十日零時過ぎより二時四十分の間、B29約百三十機、主力をもって帝都に来襲、市街地を盲爆せり。右盲爆により都内各所に火災を生じたるも、宮内省主馬寮は二時三十五分、その他は八時ごろまでに鎮火せり。現在までに判明せる戦果、次のごとし。撃墜十五機、損害を与えたるもの約五十機。

二面には高射砲を浴びて夜空で火を噴きながらくねくねと動くB29の航跡と撃墜されたその残骸の写真が掲載され、この憤激を軸に明日の戦いに蹶起せよといった類の論評で埋め尽くされている。宮内省主馬寮に火災が生じたということ意外に被害実態はどこにも記されていない」


いうまでもなく、70年前の東京空爆に関するくだりである。大本営の出鱈目さについては、もはや贅言を費やすまでもない。徹底的に被害を隠蔽し、大したことが無かったかのように取り繕い、その上で無責任にイケイケドンドンを焚きつけようとする。この姿勢がその後もなんら変わっていないことは、4年前の3月11日以降の推移において私たちは目の当たりにしている。
大本営にとって、空爆とはいわば「ブロックされた」存在だった。大したことは無い、ひるむな、勇ましく蹶起せよ。この「蹶起」を「再稼動」と置き換えれば、今日の事態に当てはまる。
原発の問題ばかりではない。特定秘密保護法、集団的自衛権容認、文官統制撤廃、といった流れにおいて、現代の大本営が同じ手口をそのまま踏襲していくことさえ、有り得ない話ではない。そして報道も実態を何ら報じない。そんな事態は既に始まっているのである。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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