時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
日本から少し離れて
一月も終わる頃のこと。三里塚の空港を発って7時間、曇天模様の空の下、私は異郷の地に降り立った。少し涼しいが、半袖で充分な気温。そう、まさしくここは異郷の地なのだ。
延々と続く砂糖黍畑。その中を、明らかに定員を超過したトライシクルが走るのが見える。時折脇道から車がぬっと顔を出す。ここでは信号など殆ど見かけない。全ては各々の匙加減だ。進行する車の目の前を、堂々と人が横切る。亡くなった若松孝二監督のことを思い出した。あんなことは、この地では日常茶飯事なのだろうか。
戸惑いや驚きは鏡として自らに撥ね返る。日本の地を踏んだとき、外国人はやはり同様の驚きの只中にいる筈である。時折、彼らの目に我々の社会はどう映じるのか、思いを致してみる。
ふと、上を振り仰いでみる。今にも雨の降りそうな雲行き。だが、空だけはどこの地にいても同じだ。勿論、陳腐な表現には違いない。だが、それが上滑りの言葉としてではなく、しみじみと実感として感得される。見知らぬ土地における孤立感がそうさせるのだろうか。
やがて日が暮れる。裸電球をぶら下げた露店が並ぶ郊外の街。夜のこの土地は、昼間とはまた違った怪しい貌を見せる。これは偏見なのか。それとも幾許かの真実を含んでいるのか。何事も、綺麗事のようにいくものではない。
日曜日の朝方は、市でごった返す。人ごみを車が無理矢理押し分けて通る。市役所の前に、彫像が立っているのが見える。聞くと、ホセ・リサールの像だという。この独立の英雄は、どんな思いでこの社会を見つめているのだろうか。
ある所では壮麗な建物が建ち並ぶ、その脇に入れば、今にも崩れそうな、ぼろぼろの建物が軒を連ねる。判りきった風景が、ここでも見受けられる。第三世界、という言葉を思い出す。おそらくは護衛のためだろう。自動小銃を持った兵士達が私達の傍らにいた。その姿が今も脳裏に焼き付いている。

海を隔て、遠く離れていようと、この世界は繋がっている。

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のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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