時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
背中で泣いてる唐獅子牡丹~高倉健逝く
高倉健が亡くなった。83歳という高齢であることを考えると、天寿を全うしたと言えるかもしれない。
高倉健は、とにかく「絵になる人」だった。演技力がどうとか言う問題ではない。むしろそれは大根といっていいだろう。だが、とにかく彼の姿は画面で「決まる」のである。こういう人はなかなかいない。
私が観た彼の出演作品は、今思いつく限りでは以下のとおり。
「網走番外地」「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」「緋牡丹博徒」「緋牡丹博徒 花札勝負」「ゴルゴ13」「南極物語」(「刑事物語」などのカメオ出演は除く)
何だ、これしか観ていないのかと思う。基本的に仁侠映画は好きではない。あの「御存知物」の時代劇に通じるドラマツルギーに耐えられなかったためである。弱いものを苛める悪いヤクザ・権力者を、人格者たる一匹狼のヒーローヤクザがやっつけるというのが任侠物の筋書きである。だが、この主人公像は水戸光圀や、徳川吉宗などの体制側の人間にも置き換えは可能であり、反権力的な特権の座を奪われた。ベタベタに情緒に訴えかける音楽も、正直鬱陶しく思われた。やがてこのジャンルが実録物に移行していくのは必然だったのである。
そんなわけで、「健さんこいつを斬ってくれえ」的な心情を私は共有しない(斬って欲しい権力者は現に存在するが)。だが、先に述べたように、画面に映る彼の姿は格が違う。石原裕次郎よりも、それは遥かに鮮烈だった。その意味で、かれは不世出の俳優だったといっていい。
亡くなってみると、称賛する人の中にも、高倉健と菅原文太を混同するコメントが目立つ。作品をまったく観ていないのが丸わかりなので、せめて作品を踏まえた意見を述べて欲しい。故人もさぞかし困惑している筈である。

※後になって、深作版「ジャコ万と鉄」、スコットの「ブラックレイン」を観ていたことを思い出した。人間の記憶など当てにならないものらしい。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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