時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ゴジラは再びやってくる
諸星大二郎に、「ゴジラを見た少年」というマンガ作品がある。
主人公は、頻繁にゴジラの夢を見るという少年。夢の中でゴジラが暴れた箇所を実際に訪れると、そこには決まって崩壊した家屋の跡があった。だが、大人たちは少年の証言を一向に取り上げようとしない。
諸星流の怪奇マンガのスタイルで叙述は始まるが、読み進むにつれ、舞台が東北の被災地であることが明らかになる。少年の夢は、震災の恐怖が生み出した幻想であったことが暗示される。
そんな或る日、亡くなった筈の従兄弟の浩一が少年の前に現れ、ゴジラの持つ象徴的な意味について、語り始める。「緩慢な死の象徴」、「放射能の象徴」、「自然災害の象徴」と、様々な意味を付与されながら、ゴジラ映画は作られてきた・・・このように鋭い分析を見せる浩一の貌は、いつの間にか、初代ゴジラ映画に登場する芹沢博士のそれになっていた。
浩一/芹沢博士と別れた後、気がつかないうちに帰宅した少年は、点けっぱなしのまま放置されたテレビを漠然と見やる。画面では識者と称する大人たちが原発の再稼動にまつわる討論を繰り広げていた。番組を見ながら少年は呟く。
「原発…原発…再稼動…再稼動…放射能…再稼動
そうか!!
ゴジラは これから来るんだ。」

諸星大二郎は、「マッドメン」などの例外はあるものの、ストレートに時事問題をとりあげることがあまり無い人だと思う。だが、本作を一読すると、この人物が優れた社会分析能力を併せ持っていることが窺い知れる。反原発に多少なりとも関わってきた身からすると、「やられたな」という思いだった。うまくは言えないが、作品力とでもいうべきものに、ガツンとやられた。ファンとしての思い入れがあるのかもしれないが、なかなか愉快な思いだった。
ニュースでは「かわうち原発(!)」が再稼動に向けて暴走していることが伝えられる。サンゴ騒動(「辺野古のサンゴ破壊はどうでもいいが、小笠原のサンゴ密猟は国家の存亡に関わる一大事」らしい)で薄まっている気配はあるが、到底誤魔化しきれるものではない。
3.11の際、フランスのブロガーから「日本はゴジラから何も学ばなかった」と指摘され、私はとても恥ずかしい思いをした。忘れてはならない。ゴジラはこれからやって来る。
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テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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