時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
血の祝祭
腰痛が酷く、一日中横になる。
貴志祐介「悪の教典」を読む。良心の欠落した学校教師が、保身などのつまらない動機のもとに次々と殺人を重ねた結果、泥沼に陥り、仕舞いには教え子を皆殺しにしようとする話。所謂サイコパス(psychopath)物である。なかなかスリリングな殺戮シーンが展開され、それだけなら優れた娯楽作品として称賛を贈りたかったのだが、最後に死刑反対論への薄っぺらな中傷を持ち出したので、大幅に減点。このくだりは、作者自身の意見と判断して差し支えないような作りになっている。人間観の薄さをもろに露呈してしまった。
これでは、作品全体として、「私達の生活が異常者におびやかされている、異常者を駆逐しろ!」というプロパガンダにしかならない。事実、文春の煽り文句もそのようなものだった。尚、サイコパス(精神病質)という用語はあまりに評判が悪く、医学的な用語としては死語である。この概念を振り回して、犯罪心理学を得々と語る輩は間抜けというしかない。「事件が起きた、これは犯人がサイコパスだからだ」、という解説は、「犯人が悪い奴だからだ」と言っているのとなんら変わりがないのである。

閑話休題。余計なことさえ言わなければ良かったものを、あと一歩のところで、残念な代物となってしまった作品だった。
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のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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