時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
悪ガキたちの抵抗劇
映画「コッホ先生と僕らの革命」(監督:セバスチャン・グロブラー)を観る。
舞台は19世紀末のドイツ帝国。謹厳居士で、コチコチの権威主義を押し付ける学校に、イギリス帰りのリベラルなコッホ先生が就任する。英語教師として着任したコッホだが、授業の一環としてサッカーを取り入れることを思いつく。初めは未知のスポーツに戸惑う生徒たちだったが、次第に競技に熱中していくにつれて団結心が目覚め、それまでの不和や、イジメが解消されていく。
だが、ことは簡単に収まらない。「サッカーはドイツの伝統をぶち壊す」として、あらゆる策を講じて学校側はこれを全力で潰しにかかる。特に貧困層の生徒を退学処分にするくだりは、お約束とはいえ、ひどいものである。
当然、「首謀者」である、我らがコッホ氏も責任を取って退職となる。だがその当日、イギリスから彼の友人が訪れ、親善試合を申し込む。国からも授業内容を視察にやってくることになり、引っ込みが付かなくなった学校側は、前述の退学、免職処分を取り消し、正式に試合を許可する。
試合が始まり、白熱してくるにつれ、集まった観客はこの未知のスポーツに夢中になってくる。サッカー禁止派だった人々も、全力で自校のチームに声援を送る。この辺り、ワールドカップの熱狂振りを考えれば、不自然なことでも何でもない。試合が終わり、すっかりサッカーの魅力に取り憑かれた学校側は、ようやく授業にサッカーを取り入れることを認めるようになる。

まあ、話自体はありきたりな展開ではあるが、少年たちの成長を描いた映画として、なかなか楽しめる。最後の親善試合は、時代背景もあり、どうしても一種の代理戦争の匂いを感じるが、あまりそこに拘る必要も無い。むしろ、サッカーを禁止しようとする連中に、現代とのアナロジーが見えてしまうことに注目したい。つまり、ダンスを禁止したり、マンガやアニメを取り締まったりしたがる輩共と、同類にしか見えないのだ。現代の日本に住む私達は、この学校の愚劣さを笑えない。
映画自体はほのぼのとした小品であるが、普遍的な批判精神を内包させた、気の利いた良作だった。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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