時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
手元のメモ録から(2)
ロマン・ロラン「アンネットとシルヴィ(「魅せられたる魂」第一巻)」読了。手元にある「魅せられたる魂」は全十巻の旧版で、本書はその第一分冊に当たる。
前半の異母姉妹の物語はなかなか活き活きと描かれており、読ませるものがある。だが、後半の主人公の結婚話になると実につまらない。人物像がことごとく作り物めいてくるのだ。進歩的な、女性の自立を主張する主人公と、旧態依然たる家制度に縛られる恋人との対決が描かれるのだが、いずれも理念の書割りでしかなく、活きた人間として描かれていない。結果として、主人公の人間像も、下らない屁理屈をこね回す、小うるさいだけの存在になってしまっている。
人物の性格付けを、「こいつはこういう奴なのだ」と作者が説明するくだりは、鬱陶しい限りである。あまりにも浅薄なのだ。
正しいことを描こうとしても、魅力的な作品にはならないということが、よくわかる読書体験だった。

続きを読むべきかどうか、検討中。読むにしても、もう少し先の話になりそうである。
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のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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