時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
時よ、動け
秩父・飯能のご当地アニメとしても名高い、劇場版「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(監督:長井龍雪 脚本:岡田麿里)のレビューを記す。先日仕事で飯能に訪れた際は、駅のベンチにまで「アニメで使用されたベンチ」である旨が記されており、苦笑したものである。
さてこの作品、テレビ版を全て観ているのだが、基本的には「好きな人が死んで悲しい」というありがちなテーマである。この手の泣かせ話は嫌いなのだが、何故か観終わった後に感心してしまった。どうしたことか。そのため劇場版については厳しい評価をしようと身構えていたのだが、結論を言うと、矢張りいい作品だったと思う。ちゃんとよく作ってあるな、と率直に評価したい。
ストーリーは、不登校の主人公の元に、幼い頃無くなった初恋の少女「めんま」の幽霊が現われ、それをきっかけに当時の友人グループが再度集結するというもの。だが、話が進むうちに、各々が「めんまの死」という深刻なトラウマを乗り越えられずに、苦しみ続けてきたことが明らかとなるのだった。
主人公たちは幽霊となった「めんま」を成仏させようと奮闘するが、その中で、自分たちにとって彼女の存在は何だったのかという課題に直面し、己自身の姿を再度問い直すことになる。終盤に主人公達が感情を爆発させる場面は圧巻であるが、それは彼らにとって、止まっていた時間を再始動させる過程でもあった。これは主人公達の再生の物語である。
映画版は、テレビ版の総集編にエピローグを加えたものである。正直、テレビ版ではこの後日譚が描かれていないのが少々不満だった。「こいつら、本当にこれから大丈夫だろうか」という、引っ掛かりが残ったのだ。これはテレビ作品というの商業主義的縛りにより、丁寧に「その後」を描くことが出来なかったためだろう。劇場版では主人公達が、成仏した「めんま」に手紙を記しながら、自分たちの人生を歩き出していく姿が描かれている。「めんま」が再び登場することは無いが、静かな余韻を残す作品となった。


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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