時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
雪語り
ひどい雪だった。などと書くと、雪国の人達に笑われそうな気がする。
ものは試しと、用もないのにわざわざコンビニまで出向いてみた。結論を言うと、下らないことをするものではない。
ここで思い出すのだが、若松孝二の映画「情事の履歴書」ではヒロインが雪の中を素っ裸で駆け抜けていくシーンがあった。よくもまあ、無茶をやったものである。尚、映画ではこのヒロインは最終的に、自らを苦しめてきた男性社会に復讐を果たすこととなる。若松は創作の上では、政治的に生真面目な人であったと思う。官能への陶酔や、殺戮と淫蕩のブラックユーモアとは、若松は異なる位置にいた。これはよい悪いではなく、あくまでも資質の問題である。
真っ白な雪玉で始まり、真っ黒な毒の丸薬で終わるのがジャン・コクトーの「恐るべき子供たち」である。賛否分かれる劇場版は未見だが、一切の規範から逸脱し、野放図に暴れ、はしゃぎ回る少年少女の姿は、まさに現代における、神々の饗宴であった。
国境の長いトンネルを抜ける話については既に述べたのでここでは取り上げない。さて、一たびロシア文学・映画に目を転じてみると、雪について語ることすら馬鹿馬鹿しくなる。もはや一々取り上げていてはきりがないだろう。
ここで、エレンブルグに「雪どけ」という作品がある。こちらは私もまだ読む機会を得ていないのであるが、これがスターリン時代の抑圧から、一定の解放が見られた時期を象徴する言葉となっているのは周知のとおり。その後、ソ連の文化政策は混迷を深めて行くのだが、党や国家の論理で文化が振り回されるのは嘆かわしい。これは人間を振り回すということと、同義だからである。さて、この「党や国家の論理」を、「資本や道徳の論理」と置き換えると、どこかで見たような構図となる。私達の社会に、「雪どけ」は訪れるのだろうか。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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