時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
旅路の終わり
だいぶ日が経ってしまい、記憶も薄れてきたので、「宇宙戦艦ヤマト2199第七章 そして艦は行く」の感想を記す。尚、本章のサブタイトルはフェリーニの映画から採られたものであるが、無論直接的な関係は無い。

前章ラストにおけるデスラー砲の直撃をかろうじて免れたヤマト。その威力は惑星を一瞬にして破壊するものだった。砲を放ったのはガミラス星の衛星軌道上にある人工都市・第二バレラスであり、イスカンダルに向かうためにはこれを避けて通る事は出来ない。敵の懐に入り込む以外、攻撃を避ける方法はない。そう判断した沖田艦長の指揮の下、ヤマトはガミラス星に向かう。
ガミラスの首都上空を突き進むヤマトは波動防壁を全開にし、敵を蹴散らしながらデスラー総統府に突入。戦況が不利と見たデスラーはユリーシャ(実は森雪)と僅かな側近を引き連れ、衛星軌道上の人工都市に脱出する。政府高官達は、全て置き去りにされたのだった。
脱出したデスラーは第二バレラスの中心部を除く、大部分を切り離し、ガミラス本星に落下させる。巨大な構造物の落下により、ヤマトを首都もろとも破壊するためである。ヤマトは総統府から人が避難したのを見計らい、建物に船体を突っ込んだまま角度を修正。落下する第二バレラスに波動砲を放つ。いうまでも無く、旧作のバラン星における人工太陽のエピソードを組み込んだわけである。
更にデスラーはデスラー砲を放とうとするが、森雪がガミラスの護衛兵士と共に制御室に侵入。エネルギーを暴走させ、艦は崩壊する。護衛兵士が雪を庇い、身代わりとなって死んでいく姿が哀しい。

ガミラスとの講和を果たしたヤマトはイスカンダルに到達。だが、ユリーシャの報告を受けたスターシャは、コスモ・リバースを渡す事をためらう。ヤマトが波動砲という大量破壊兵器を作ってしまったこと、そして、自業自得とはいえ、思いを寄せていたデスラーを死に至らしめた事が引っ掛かっていたのである。
ユリーシャの助言、ガミラス新政府の推薦を受けたスターシャは、長い逡巡の後、装置を渡す事を決断。その際、波動胞を最初に開発したのはイスカンダルであり、その結果、多くの惑星を破滅に陥れ、自国も滅亡寸前に至った事を打ち明ける。
コスモ・リバースを製作するには基盤となる大掛かりな装置と、意思のエネルギーが必要となる。ヤマトは波動胞を封印し、艦自体をコスモ・リバースに改造する事になった。このあたりの細かい設定は忘れたが、ヤマトがイスカンダルに出向く必然性は、説明されていた。
そんな中、スターシャは古代進を連れ出し、墓地に案内する。イスカンダル人は死に絶え、今やスターシャとユリーシャを残すのみとなっていた。果てしなく広がる墓標群。だが、スターシャが案内したそこには、兄である古代守の名があった。守はガミラスの捕虜となった後、遭難。イスカンダルで保護するが、ヤマトの到着を待たず、命を落としたのだった。

スターシャ姉妹、メルダ・ディッツと別れを告げ、いよいよ地球への帰路に着くヤマトは、途中、遭難船を発見する。乗っていたのはガミラスの最高幹部の一人、ミーゼラ・セレステラであった。異民族である彼女には、デスラー死後、ガミラスにとどまる理由は無かったのである。
その後亜空間ゲートを航行中、ヤマトはガミラスのロボット兵士の侵入を許す。生きていたデスラーの部隊が最後の襲撃を決行したのである。白兵戦の中、セレステラは感極まってデスラーに駆け寄ろうとする。だが、突然の事に驚いたデスラーは彼女を誤射してしまう。とどめを刺そうとする側近兵士から容赦なく銃撃を浴びせられ、セレステラは死亡。彼女を庇おうとした森雪もまた、重傷を負う。真田の秘策により、ロボット兵士の動きを止められたデスラーは自艦に退避。波動砲もショックカノンも使えないヤマトにデスラー砲を放とうとする。だが、三式弾の砲撃を受け、自艦も満身創痍となる。デスラーはそれでも強引に砲を放つが、エネルギーが制御できず自滅する。

ヤマト艦内では、軍人の幽霊が出るという噂が立つ。或る日、技術班の新見がそれを目撃、正体が古代守であることを知る。コスモ・リバースに宿っていた意思とは、守の魂だった。
デスラーの襲撃により、生命の危機に陥った雪は自動航法室の生命維持装置に安置される。取り敢えず地球まで命をもたせ、大きな施設で本格的な治療に移行する予定だった。だが、努力も空しく、彼女は唐突に死を迎えてしまう。
わざとらしく元気に振る舞い、加藤と真琴の結婚式を盛り上げる古代進。そんな弟の痛々しい姿を見た守は、「俺がお前にしてやれるのはこれくらいだ」とコスモ・リバースをフル稼働させ、装置のエネルギーを消費しつくしてしまう。これでは地球に戻っても装置が動かない、と茫然とする真田。その頃、自動航法室では、森雪が息を吹き返していた。守からのせめてもの手向けだった。
一連の出来事に気付く事も無く、艦橋ではいよいよ間近に迫った地球の姿に誰もが釘付けになっていた。艦長室では沖田が病身をベッドに横たえている。旧作でも有名な、あのシーンである。写真を手に涙ぐむ沖田。やがて力を失い、だらりと垂れ下がった腕から写真が落ちる。途端、コスモ・リバースが再起動。沖田の魂がエネルギーとして宿ったのである。
再び艦橋で地球を眺める乗組員達。ヤマトが地球に消えて行き、青い地球が甦る。コーラス「明日への希望」をバックに劇は幕を閉じる。


本章では全体として、松本零士、とりわけ「キャプテン・ハーロック」へのオマージュが見られる。ガミラス星における戦闘はアルカディア号のラム戦法(体当たり)であるし、コスモ・リバースの構造はアルカディア号の中央大コンピューターを思わせる。これは松本版で「古代守=キャプテン・ハーロック」という設定があったことへの回答だろう。
コスモ・リバースの仕組がオカルトめいているという批判があるが、これは致し方ない。こんなことに絡んでいたらハードSF自体が成り立たないものだ。むしろ、よくも辻褄を合わせてきたものだと感心する。

旧作と異なり、ガミラス星を滅ぼすことはしないので、「もう神様の姿が見えない」のセリフも無くなった。印象深い一言だったのだが、こんなセリフを言わせる状況になったら終わりである。これまでの本作のストーリー展開からはそぐわないので致し方ない。だが、「平和への意志」という志については充分受け継いでいるといえる。
極力戦闘を避けてきたヤマトでさえも、大きな罪を背負っている事は見逃されていない。同時にそこにはイスカンダル自身の過去の罪業をも示している。
デスラーの性格が判りにくかったのだが、本作で少し了解できたように思う。この偏執狂的な男は、武力による全宇宙の統一、その後に強大な権力による支配と秩序維持により、「イスカンダルの理想」を達成しようとしていたわけである。だが、イスカンダルの目的は「生命の救済」である。デスラーの意思は壮大な誤謬に基づくものであり、スターシャとは相容れる筈も無かった。これはひとつの恋愛悲劇である。また、このイスカンダルの理想は本作の求めるテーマでもあった。尚、スターシャの胎内の子は、守との間に出来たものと推定される。
「古代君が死んじゃう」のセリフも無いが、その代わり異星人であるセレステラを守るシーンに変更された。この改変は悪くない。さらにここで旧作の「僕達は愛し合うべきだった」のセリフが雪の口から飛び出し、巧みに再構成がなされている。桑島法子もよく演じていた。
その他、相原錯乱のエピソード軽く挿入されるなど、心憎いシーンも見受けられる。波動砲口の「前張り」は松本版大ヤマトを意識したのだろうか。終盤のコーラスはサウンドトラックでお馴染みの曲である。続編で使われていたかどうかは知らないが、嬉しいサプライズだった。
一部制作が追いつかず、未公開の場面が残っているが、素晴らしい出来栄えだったと思う。欲を言えば、続編が作られないようにきちんと引導を渡して欲しかったというくらいか。特攻主義の戦争モノと成り果てた続編のリメイクはやめてくれ。

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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