時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
選挙のある風景
日曜日、「選挙2」(監督:想田和弘)を観た。劇場の前に長蛇の行列が出来る盛況ぶりで大変なものだった。
映画は「山さん」こと、山内和彦の選挙運動を追い続けるドキュメンタリー作品。前作では自民党から立候補した彼は、今回は無所属で「脱原発」を掲げての出馬である。
とはいっても、選挙運動らしい活動は殆ど無し。前回のドブ板的手法は完全に封印し、車で移動しながら、各候補者に挨拶に回る日々である。
映画は山さんを追いながら、候補者達の姿を映し出す。想田監督のこれまでの活動を意識しての事だろう。自民党の候補者からは撮影を拒絶される場面も見られた。「許可も無いのに撮るんじゃない!」。撮らいでか。カメラは挑発的に候補者の顔を追い続ける。選挙活動を撮るなというのは奇妙な話だ。先日のTBSの問題でもそうだが、権力者は「まなざしを向けられること」を、激しく恐怖するのである。

こうした選挙の風景を切り取る一方、映画は人々の日常や、はしゃぎまわる子供達の姿などを映し出す。改めて思うが、街の人々がせわしない日常を繰り返す中、街宣車で練り歩き、辻立ちで演説を続ける各候補者の姿は異様というほか無い。はっきりいって「イタい」のである。尤も、作中でも語られているように、これは公選法の締め付けが原因のひとつとなっているようで、必ずしも候補者の責に帰する事は出来ないらしい。敬遠されている事は重々承知なのだ。選挙活動など、町の人々にとっては只のノイズなのである。
同時にこれは、あらゆる社会活動がノイズとしてしか受け取られていない事を意味する。反原発、反TPPで情宣活動、ビラ配りを経験した人にとっては、決して他人事ではない。「鬱陶しがられているな」という思いは、私達も散々経験した筈だ。
終盤で山さんがタイベックスを装着し、辻立ちを行う場面は象徴的だ。語られている内容は、放射能汚染と子供達の健康の問題である。反原発運動に携わった人にとっては実に耳慣れた事柄であり、真っ当なものだろう。しかし、耳を傾ける人の姿は皆無である。それでも声を上げ続ける。負けずに訴え続ける。

ラストに表示される字幕によって、山さんが落選したことが伝えられる。しかし、投票率の低さには唖然とするほか無い(確か44%だったか)。海外で公開した場合、最も衝撃的に受け止められるのはこの投票率の表示ではないだろうか

スポンサーサイト

テーマ:最近見た映画 - ジャンル:映画

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/1270-de0028bc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター