時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
私達の「覚悟」
「選挙」(監督:想田和弘)の日比谷図書館における上映会が、中止するのしないのと騒がれた事は既に知れ渡っている事だろう(結局、指定管理会社が共催から外れ、単独開催という形で決着を見た)。
映画の内容に千代田区側が懸念を示し、その結果、指定管理会社が上映中止を余儀なくされたというのが真相のようだ。無論、当の千代田区の弁明が聞かれない以上、憶測の域を出ない。
いうまでも無く、映画を上映し、選挙について考え議論する事は、公選法に抵触するわけでもなし、何の問題性も無い事である。それどころか、こうしたアクションは今の日本社会に必要な事ですらあるだろう。何らかの圧力が掛かったという見方もあるが、私はむしろ、原因は「過剰な自主規制」にあるのではないかと考えている。
一般に大きな民間企業などにおいて、コンプライアンス遵守という事は「法令以上に厳しい、独自の倫理基準を設ける」ことを意味する。これは個人情報保護法などにおいて、その猛威を振るった。これを公選法に当てはめて考えれば、法令以上の自粛現象が発生する事は不思議なことではない。
だが、表現活動においてこれを適用すればどうなるか。ひたすら公権力の顔色を伺い、際限ない萎縮を余儀なくされ、当たり障りの無い作品のみを生み出す事に腐心する、そんな状態が生み出される事となる。すなわち、表現活動の死であり、精神の終焉でもある。
日本における民主主義の頽廃は、予想以上に進んでいる。表現活動に携わる者は、直接のクリエイターのみならず、発表の場や機会を提供する者を含め、相当の覚悟を必要とされる、そんな時代に突入しているのだろう。

事実、こうした萎縮の心理は、根拠の無いものではない。話題になった片山さつきの発言を引用してみよう。
「初音ミクがある日突然引退したり、亡くなったらあしたのジョーの力石のお葬式並みになると思うんですけども。そういうアイコンが作られてるなかでね、その中にどんどん若い人が入ってしまった中で、児童ポルノ的な、扇情的なものをしょっちゅう見せられて、それが犯罪に走らないと言い切れるのかどうかと」
寺山修司が聞いたらさぞかし嘆くような妄言だが、こんな訳のわからない横車を押すような為政者がのさばっているのは歴然とした事実だ。論理的思考、分析的な精神が、行政の場においてこれ程までに蔑ろにされている事に、私は慄然とする。そんな現在、上映関係者や、出版社などが怯えだすのは理解できない事ではない。だが、怯えて自粛に走れば、それは自らが言論弾圧の共犯者となることを意味する。
頽廃は、おそらく一線を越えているのだ。繰り返しになるがが、私達は言論活動、ひいては民主主義を守るために、真剣な覚悟を強いられているのかもしれない。
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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント
金字塔
k.殺気、凄い顔になっちゃったね。時期的にこれ以上は書かないけど W。

今ちょっと想像してみたけどもし「選挙」→「立候補」だったらどうなったかな?今ポレポレで大盛況らしいですよ。半年位前に外山恒一ギャルズから、今度映画に出るんですぅ~、と可愛らしく言われてついさっき思い出しました。

渋谷の選挙フェス、気力体力共に尽きてしまい行けず。何でみんなタフなんだろう?
木曜日から金曜日に戻ったストリートミーティングも今回は参加をやめておきました。前半で燃焼したくないもんね。海外から頼れる人が戻って来て安心し過ぎたせいか、余計に身体が動かなくて困っています。
【2013/07/07 00:48】 URL | ダムド #iu8Dq9Ko [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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