時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
これは薬罐ではない
ヒトラーに似た(?)薬罐の広告が話題になっている。写真で観ると、ちょっと吹き出してしまうようなユーモラスな姿をしている。一種のトロンプ・ルイユ(騙し絵)といったところか。この技法を採用した絵画といえば、ルービンの壷、ウサギとアヒルの図(耳が嘴に見える)、少女と老婆の図(これは文章ではちょっと説明しづらい)、アルチンボルドの一連の作品など、枚挙に暇がない。
少し凝ったところでは、うら若い女性が化粧台の前に座っている姿が、実は巨大なドクロの図になっている、というものもある。言うまでもなく、メメント・モリを意識したもので、「美のはかなさ」を示す、絵画の主題としてはおなじみだろう。
ここでは、あるきっかけが意味を転倒させるのだ。堅固な「意味としての世界」が崩壊し、予想もしない姿を垣間見せる契機。この意味の恣意性を追求すれば、「嘔吐」のマロニエの根の話になるだろう。これは意味付けの崩壊に対する不安感であり、絵画でいえばマグリットの「パイプ」シリーズが想起される。
また、多義的な姿を同時に被らせることに着目するのであれば、和歌における掛詞の世界を思い出しても良い。ダブル・ミーニングは音楽の世界でも多くのアーティストが採用している。意味の多層性は、今日の創造行為においても重要な意義を持っている。
さて、件の薬罐の広告だが、流石にこれは幾らなんでも偶然というしかない。「許せない」というような性質のものでもないだろう。「やめてくれ」と一言いえば済んでしまいそうな気がする。
スポンサーサイト

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント
これかー
書いてたので探してみた。
これかー。
って、貼り付けたら禁止キーワードが含まれてるらしくUPできなかったので、Twitterにあげときます。
そんなに怒る程にてるか?と思ったけど、トラウマのある人にはそう見えるのかなぁ…と。
【2013/06/03 23:43】 URL | ないと #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/1251-46d76c76
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター