時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ある封印作品について
先日、東京国立近代美術館で藤田嗣治の「アッツ島玉砕」と「決戦ガダルカナル」(だったかな)を見た。戦意高揚画として、悪名高い作品である。
藤田といえば、透き通るような筆致で描かれた人物画でよく知られている。戦後は戦争責任を問われ、レオナール・フジタとしてフランスで余生を過ごした。関心のあるひとは司修の「戦争と美術」を読まれるとよいだろう。
さてこの作品だが、噂には聞いていたが、確かにドラクロワを思わせる作風で、混沌とした殺戮描写には圧巻の印象を受ける。これをして直ちに反戦絵画とは思わないが、動機や経緯を知らなければ、戦争のおぞましさを描いた優れた作品として評価したくなるのも頷ける。
ここで私はエイゼンシュタインの「イワン雷帝」を思い出す。よく知られるように、この映画はスターリンを礼賛しようとして作られた作品だが、そこに描かれたのは非常かつ冷酷な独裁者の姿であった。結果、スターリンを激怒させる事となり、続編の製作も中止を余儀なくされたのだが、国策芸術を巡る運命を考えると対照的である。
ここにリーフェンシュタールのプロパガンダ映画「意思の勝利」を対置すると、さらに色々な論点が浮かび上がりそうな気がするが、いずれにしろ、こうした作品を封印し、抹殺してしまう事には反対である。封印・抹殺もまた、結局は政治的都合でなされる事だからである。
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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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