時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
罪の刻印
「宇宙船艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」。情報量の多い作品なので、うまく整理できたとは言い難いが、内容を忘れる前に感想を記す。

冒頭、ガトランティス帝国軍(「さらば」の白色彗星のアレ)と激戦を繰り広げるドメルが登場。ここからガミラス帝国内部の政治的、軍事的な内部事情が描かれる。様々な確執があるのだが、少々複雑なので初見では判りづらい。尚、ガミラス星は旧作のような異様な姿はしておらず、平和な時代の地球上を思わせる町並みが存在する。社会体制は完全にナチス・ドイツをモデルにしており、政治劇としてはかなりマニアックでさえある。
一方ヤマト艦内ではガミラス人メルダの告発により、乗員達は大混乱に陥る。一方的に先制攻撃を仕掛けたのは地球の側だったのだ。この設定変更はかなり大きく、結末にも重大な影響を与えそうである。ヤマトと戦艦大和を完全に別物とするなど、旧作の危なっかしい点を注意深く排除していた本作だが、ここに来て大きく踏み込んできた。こうなると、終盤にガミラス星を滅ぼす事も無くなりそうだ。どのように落とし所を見つけるつもりだろうか。
さて、艦内の混乱の中、新見薫は移民計画のためのオルグ活動を密かに進める。藪が手先となっているのは予想通り。渦中のメルダは平和裡(むしろ友好的)に解放されるが。この後のキーパーソンとなりそうな予感がする。
やがてヤマトⅢにも登場したフラーケン達の特殊部隊が、ドメルの部下となって登場。イメージとしてはUボートにワイルド7が乗っているようなもので、かなり無茶であるが、独特の凄みと存在感があり、悪くは無い。「狩りを始めよう」という台詞には脱力したが。
結局、小惑星地帯を利用しながら(つまりアステロイド・ベルト)何とか逃亡に成功するのだが、ここも先々に含みを残している。
終盤のエピソードはかなりホラーチックである。古代と雪が任務から帰還したところ、艦内は無人。必死に皆を探す二人に、奇妙な幻影が現れ、地球への郷愁の世界にいざなう。ガミラスからの精神攻撃(旧作の相原錯乱事件に相当するのか)なのだが、ここで作戦を担当する「魔女」と呼ばれるミレーネルは「完結編」に登場したアクエリアス星の末裔である。このエピソードは元ネタが色々ありそうなので、ソースを辿るつもりは無いが、個人的には「電脳コイル」のいくつかの場面を思いだした。
森雪の過去がいくつか暗示されるが、謎はまだ残されている。岬百合亜が名前からしてユリーシャと関係があるのか、霊媒体質なのかはよくわからない。また、多民族国家であるガミラス社会の姿がより強調される挿話でもある。
細かいファンサービスには事欠かない。ハーロックのトリさんを思わせるドメルのペット、「バルス」という台詞、旧作のエピソードの回収(古代と島の喧嘩、写真の場面)など、その気で探せば色々見つかるだろう。
本作は派手な戦闘シーンは影を潜め、伏線をやたら張り巡らせた分、やや「つなぎ」的な部分があるのは事実である。だが、出来は決して悪くない。知名度がまだ低いのが嘆かわしいくらいである。

yamato4
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この記事に対するコメント
懐かしー
>ドメル。  

なるほど、旧作との違いを、ですか。 

いや旧作もかなり、政治的駆け引きに巻き込まれて、最期は・・・だったような。 

ガミラス帝国は完全に「ナチス」がモチーフだけど、旧作で「さらば~」の時、実はデスラーが「救出されて」って、ネタバレ注意か(笑)。
 
ただあの「バルゼー提督」ってネーミングセンス、ワロタ記憶が・・・。
【2013/01/15 02:24】 URL | ダムド #- [ 編集]

ツバクカンサルマw
> 巻き込まれて 

今回も、「小物中の小物」ゲールが相変わらず足を引っ張る見込みです。もはやトリックスター(笑)
ただ、「あの」ミサイルを使うかどうかは微妙ですね。

今後の展開としては、ビーメラ星は松本御大のカラーだと思うので、そのままでは出てこないと思います。でも、植民地の反乱等といった形で描かれるかも。
あと、ガミラス語はかなり拘って作られています。
【2013/01/15 22:18】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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