時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
続・アメリカの民主化運動
昨日の続き。堤未果「ルポ 貧困大国アメリカ」を読む。
平易に書かれた本なので、かなりとっつき易い筈である。内容は、タイトルから想像されるとおり。国内に第三世界を生み出してしまった巨大帝国=アメリカの実態を曝け出したもの。マイケル・ムーアの一連の映画を観た人は、読みながら大いにうなずく点が多いと思う。
民営化、自由主義経済の名の下に、健康、医療、生命を悉く蔑ろにし、蕩尽してきたのが、この国の現代史であった。資本とは、利潤を上げることを最大の目的とする。安全や、健康、生命、文化は収益に繋がらなければ、コストとして徹底的に排除される。人間性など、そこでは入り込む余地は無い。巨大な利益を作り出すことのみが最大の関心事である。そして、政治や社会はこの資本に奉仕するために存在する事となる。
医療活動は患者を救う事ではないし、メディアの目的は真実を伝える事ではない。あくまでもより利益を上げることが目的である。戦争さえも、ビジネスの延長上に存在するのである。
企業がより多くの利益を生み出すためには、格差はあったほうがいい。労働者が窮乏状態に陥れば、食い詰めた者達はどんな劣悪な労働条件でも文句を言わずに受け入れる。企業は労働者を部品としか見做していないので、過労死のような事態が起こっても、また代わりを雇えばよい。そして同じ事を繰り返しながら回転させていく。多くの貧困層が軍隊に取り込まれていることは何ら不思議な事ではない。軍隊はいわば、最大のブラック企業なのだ。ここではもはや、徴兵制さえも必要ない。飢えさせればよいのだ。
甘言を弄し、必要な情報を与えず、騙し討ち的に危険な労働に従事させられる。そんな事例はアメリカに限った事ではない。わが国でも原発作業員の募集において、事故前から指摘されていた事柄である。そして、現在も事故の収束作業に同じ手法が使われ続けていることが報告されている。
資本の論理とは、収奪の論理である。そして、生命に関わる事柄に資本の論理を導入すれば、社会は巨大な圧搾機と化す。人々は骨の髄までしゃぶりつくされ、そこで利益を享受するのは、1%である。
アメリカの事例は、日本で行われようとしている事の、行く末を示している。既得権益バッシングと民営化礼賛の行き着く先がこれである。野放しにすれば、私達の生存そのものが、金儲けのダシにされていく。地獄への道を呼び込むな。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
ハゲタカと愚民
使い古された、タイトルで申し訳ございません。  

はい、私もその「深淵」を探ろう、と遅ればせながら、営業再開した書店で、チョムスキー2冊、スティグリッツ1冊注文してしまいました。殆ど文無しなのに(笑)。 
【2013/01/04 00:46】 URL | ダムド #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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