時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
巳年考
2013年。干支でいえば巳年、とやらであるらしい。白蛇様信仰などに見られるように、由来、蛇は縁起の良いものとされてきた。蛇の抜け殻を財布に入れると金持ちになるという言い伝えは私も子供の頃から聞いている。
伝承としての蛇となると、我が国ではヤマタノオロチにまで遡ることになる。こちらの蛇は悪役であるが、自然神を畏れ、敬い、祀ってきたと考えれば 決して矛盾するものではない。さらに、蛇にまつわる伝承といえば、奈良県の三輪山信仰が有名だが、長くなるのでとりあえず割愛する。
目を中国に向ければ、例えば「山海経」などを繙くと、蛇の怪物の詳細がこれでもかとばかりに記述されている。「山海経」を「ばけもののエンサイクロペディア」と評したのは南方熊楠だが、その通り、やたらグロテスク極まりないイメージが充てられている。十二支も中国経由だが、扱いはかなり異なるようだ。
旧約聖書によれば、エヴァを唆し、智恵の木の実を食べるように働きかけたのは蛇である。この蛇はサタンの化身であり、旧約聖書中最初に描写された動物でもある。他にもメドゥーサの髪の毛が蛇だったなど、西洋ではあまり良い印象が無いようだ。確か、ドストエフスキー「悪霊」の主人公・スタヴローギンの綽名は「賢しき蛇」だった。尚、メドゥーサの原型は小アジアにて信仰された神であるらしい。
そういえば、錬金術の象徴ではウロボロスという、自らの尻尾を咥えた蛇の図柄が使用されている。一にして全、死と再生という「完全な存在」を表象するもので、術師達が好んで用いたイメージであった。錬金術が本来、人間が神になるための方法論として研究されていた事を考えれば、不思議な事ではない。
サン=テグジュペリの「星の王子さま」の冒頭には、有名なうわばみに関する記述が存在する。象を飲み込むうわばみという、妙な空想が描かれるが、私が「うわばみ」という名前を知ったのはこの本においてである。本居宣長によれば、小さい蛇をクチナワ、やや大きいものをヘビ、さらに大きいものをウワバミ、とてつもなくでかい物をジャとよぶらしい。オロチとは即ちジャの事である。
心理学的には蛇はペニスの象徴という事になるが、そうなると陽物崇拝との関係も考慮しなくてはならない。話が段々大きくなってきたので、この辺りで切り上げておくとしよう。

midoshi
スポンサーサイト

テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
賀正~そして聖書のヘビさん(^-^;
明けましておめでとうございます。
で聖書のヘビさん。確かにアダムとイブのお話では悪役です。だからヘビさんは悪いやつの扱いで、とても気の毒だなぁと子供の頃思いました。実は自分は「両生類・爬虫類好き」なマイノリティ(笑)で、子供の頃からヘビさんが大好きだったので少し悲しかったのです。
ところが長じて一度「新約聖書」を読んでみたら、イエスさんのお言葉に「蛇のように賢く、鳩のように素直であれ」というのが出てきました。この蛇さんはまるで悪いイメージではありません。何だかクールなイケメン眼鏡優等生クンみたいです(汗)。ちょっと聖書が好きになったりしました(馬鹿だ~w)
ヘビさんは縁起物で商業の神様的なところもあるそうです。商業高校の校章の意匠にもよく使われているそうです。悪役だったり縁起物だったり、そんな矛盾した役回りが似合うのかもしれません。今年のヘビさんはどっちかな?
【2013/01/03 02:49】 URL | ふぶら #- [ 編集]

Re: 賀正~そして聖書のヘビさん(^-^;
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

>蛇のように賢く
なるほど、スタヴローギンの綽名もここから来たのですね。そういえば、創世記の蛇も智恵の木の実を食べるよう唆すので、知性とは縁が深いようです。錬金術の象徴に使用されるウロボロスの図柄にも関係してくるのでしょうか。
ちなみにグノーシス主義においては、同じ理由から「蛇こそが神の使い」とされることが多いようです。
【2013/01/05 00:33】 URL | のわーる #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://noir731.blog106.fc2.com/tb.php/1120-70c6a3ee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター