時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
匹夫モ志ヲ奪フベカラズ
中沢啓治が亡くなった。「はだしのゲン」は小学校の学級文庫にあったと思うが、ついに読まずに来てしまっている。高校生ぐらいの時にアニメ版をテレビ放映で観た程度である。どうも「名作」となると敬遠したがるという天邪鬼な性質は、生来のものらしい。
それでも、幾分かのエッセンスは掴み取る事は出来たと思う。私はアニメ版第二部の少年達の話が面白かった。「ゲン」を「カラマーゾフの兄弟」の少年達のエピソードと重ね合わせていたのは大江健三郎だが、この点に関しては卓見だと思う。ここには力強く生きようとする、少年達の普遍的な世界が描かれていた。映画や小説でもそうだが、ある種の作家達は子供達の話を描くとやたら活き活きするものである。この点は考究の余地がありそうだ。
「映画秘宝」のインタビューでは、確か「ヨーロッパ編」というものも構想されていた筈である。その意味では志半ばといえるのだが、志は次の世代が引き継げばよい。方法は様々である。表現活動を選ぶなり、社会参加を選ぶなり、それぞれの方法で行えばよい。そして、それをさらに次の世代に引き継いでいくことだ。その意味でも、文化活動は資本の道具であってはならない。

チョムスキーの「アメリカを占拠せよ!」(ちくま新書)を購入。読み終えたら感想を書くつもり。
新書で思い出したが、ちょっと前に祖父江孝男が亡くなった。「文化人類学入門」ではお世話になった。それも遥か昔の事である。年を取るわけだ。
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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント
自分も未読で(^_^;)
自分も「はだしのゲン」は未読です。多分やはり「名作…ふーん」みたいな?自分の場合とくに斜に構えた気持ちがあったのでしょう。そんなガラでもないのに(苦笑)…心の柔らかな若いうちに読んでおけば良かったシマッタと後悔しています。
子供を描写すると非常に生き生きとする作家…というと、自分は真っ先に推理小説家の仁木悦子を思い出します。わらわらあっちいったりこっちいったり、へこんだり悩んだりしながら素晴らしい着想で大人を助けたりしちゃう仁木作品の子供達の楽しさは、推理小説を離れても魅力的です。
ハードボイルド作家だと原りょう(漢字が出ない…)の短編集も味わいがあります(それは苦いけれど)。ハードボイルドと子供って「水と油」な気がするのに、何故かすんなり入るのは不思議です。勿論、原作品では「青年」の造形が抜きん出ているとは思いますが。
仁木作品はもう少し復刊されないかしらん。古本屋巡りで集めたけど、もっと若い世代にも読んで欲しい…まだ元気な商店街の描写なんて、歴史的資料価値もありそうなので。
【2012/12/26 02:16】 URL | ふぶら #- [ 編集]

右から考える
中沢啓治氏が亡くなった事をまさか、初めて参加した「右デモ」で知るとは・・・  

「はだしのゲン」ですが、母親が島根県の広島文化圏出身なので、里帰りの度に近所の仲良し君の家で読みました。  

登場人物で印象的だったのは、「在日の朴さん」でした。戦後は「ヤ○ザ」な道にまっしぐら。  


私が「その背景」を知る様になったのは、社会人になってからです。  

色々考えるとやりきれませんが、浸っている時間はありません。
【2012/12/27 01:24】 URL | ダムド #- [ 編集]

子供のいる風景
私の場合、子供達が印象深い作品といえば、コクトーの「恐るべき子供たち」、三島の「午後の曳航」など、ダークな方向に行き着いてしまうようです(笑) あと、日野啓三がこの子供いうテーマに関心が高かったかと。
幼形成熟(ネオテニー)に拘ったのは澁澤龍彦ですね。埴谷雄高の「死霊」には白痴の少女「神様」が登場していました。
タルコフスキーの「僕の村は戦場だった」のイワン、「鏡」のイグナートは鮮烈でしたね。あ、「ローラーとバイオリン」もそうでした。「ノスタルジア」の少女アンジェラ、「サクリファイス」の少年、「ストーカー」の少女・・・思えばこの人は子供に拘った監督でした。
マンガでは諸星大二郎。子供を描く作家では大友克洋の評価が高いですが、私は諸星の描く少年少女の方が上ではないかと考えています。
また、柳田國男が「桃太郎の誕生」か何かで「小さき子」のテーマを描いていました。この辺り、掘り下げてみると奥が深いですね。
【2012/12/31 02:05】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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