時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
我関わり知らず
選挙がいよいよ近付いてきた。ここ一年余り、「私達の最大の敵は無関心だ」という言葉を幾度も耳にしてきている。苛立ちはわかるものの、個人的には、無関心を積極的に非難したくない気持ちもある。誰もそんな下世話な世界に首を突っ込みたくはないし、それはよく理解できるからだ。むしろ、そうした層に訴えかける言葉を探す事が重要と思える。ただ、無関心がカッコいいことだと思っているとしたら、それは勘違いも甚だしい。
無関心もひとつの政治的立場である、という主張がある。だが、それが立場として意味を持つのは、諸個人のひそやかな心の中においてである。人間論的には意味を持っていても、現実社会においては、それはメッセージとはなりえない。悲しいかな、現実問題としては、無関心の持つ役割は「社会的枠組みの中で誰かを利する」というだけである。
私達の社会においては、全ては力関係であり、恐ろしく功利主義的な枠組みの中で事態が進行する。ここにおいては、表面にあらわれない個々人の内面の意思など、意味を持たない。結果が全てである。心裡留保は対抗手段たりえないのである。
誰もそんなえげつない世界には関わりたくはないだろう。だが、私たちは否応なしに、そうしたやくざな社会構造の中に投げ込まれているものである。ハイデッガーの言い回しでは「世界-内-存在」ということになる。関わりを拒否する事が、不本意な形での関わりを意味してしまう。そんな逆説的な世界に私たちは生きている。
政治が全てだと思っているとしたら、それは馬鹿者である。だが、事実として、私たちは何らかの形で政治と関わりを持たざるを得ない。私たちは生を獲得しなければならない。
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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント
戦争は無関心から
寧ろ気になるのは、無関心でなきゃいけない、という風潮が気になります。 

先日も、知人と2人で入った喫茶店で「政治、選挙、原発、TPP」について話しあったのですが、隣や周りのテーブルの客が聞いていたみたいで、露骨に嫌な顔で、私たちを指差してヒソヒソと。  

嫌な時代になったものです。 

損するのは、彼らなのにね。
【2012/11/30 02:19】 URL | ダムド #- [ 編集]

Re: 戦争は無関心から
この前マックでモンサントの悪口やら原発事故の話やらをしていたら、周りから客がどんどんいなくなっていきました(笑)こちらは食い物屋でトイレの話をするようなものなので、原因が違うかもしれませんが。

「無関心でいなければならない」という概念が、内面化された超自我のようになっているように思えますね。若松孝二監督は「いい子でいる必要なんかないんだ、怒りたいときは怒っていいんだよ」とよく言っていましたが…
【2012/12/01 00:45】 URL | のわーる #- [ 編集]

ある種の技巧のお話(^-^;(汗)
なかなか政治とか経済とか表現規制とかの「おかたい」問題提起系な話題って、皆さん敬遠されますょね…残念ですが、致し方ないご事情のある方も又、多かったりします。「無関心」でいないといけない、そんな保身を強いられてしまう立場もあろうかと。
表現規制関連で、かの「都条例」の時に、いきなり「無関心」を決め込み「あたしをそんな政治とかに巻き込まないで!」とばかりに拒絶しやがった腐女子な友人が居ました。その時は超!ムカつきましたが、後でどうも「お姑さんの目が怖い」立場にあるらしい事がわかりました。既婚女性にとって「夫の母」は最も波風立てたくない、それはそれは恐ろしい存在です(ほんと!ほんと!)。…事情を何となく察してからは、アプローチの仕方を変えました。幸い彼女もわかってくれて、今はこっそり色々支援してくれています。
保身は人の身のやむを得ないブロトコルです。なるべく笑える楽しいにこやかな「エ○漫画支持」とか「規制反対」の表現書式を提出していきたい、それが自分の目下の課題です。一種の技巧の問題かもしれないのですが、何しろ、楽しくて笑えて、暖かくにこやかな方が、何をやるにも良いに決まってますからぁ~。
【2012/12/01 22:55】 URL | ふぶら #- [ 編集]

Re: ある種の技巧のお話(^-^;(汗)
成程、腐女子な方々にはそのような事情もあるのですね。勉強になりました。

昔は芸術家などが、政治に関わらない事がひとつの美学になっていましたよね。リラダンのように「家来共にまかせておけ」といった具合で。でも、そうした古人の振舞いを形態的に猿真似をしているだけの人を見ると、ちょっとまてよ、と思います。どう見ても腹を括っているようには思えない。また、昔と今では社会と個人の関係性も変わっているように思います。
大江健三郎が「サルトルのノーベル賞拒否にはメッセージがあった。僕がノーベル賞を拒否しても、そこにはメッセージがない」と述べましたが、それと同じ事だと思いました。
【2012/12/04 01:01】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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