時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
太陽肛門
「太陽の党」…岡本太郎か大川隆法のイメージばかり浮かんでしまうのは私だけではないと思う。「センスが悪すぎて、突っ込みようもない」という形容が最も相応しい。

気分が悪いので、岡本太郎の話をしよう。
岡本の「太陽の塔」が万博の理念に対するアンチテーゼとして提出されたのは、岡本の文章に触れた事のある人ならお分かりと思う。洗練されたモダニスムの潮流に対抗して、プリミティヴな、ベラボーな物を作ってやろうと思った、それが岡本の動機だった。岡本お得意の「対極主義」の典型である。
だが、この試みは果たしてうまくいっただろうか。むしろ、「太陽の塔」は万博の戦略にうまく吸収されてしまったように思える。万博側にとって、岡本の作品はその意図とは裏腹に、格好の宣伝道具となった。太陽の塔は、万博の風景によく溶け込んで、バラ色の未来を宣伝する事に一役買った。この敗北は痛ましい。
いうまでもなく、左翼がよく言う「岡本は太陽の塔で万博に協力した、ナンセンスだ」という図式は、モノを考えない人間に典型的な思考パターンである。岡本がその主観的意図としては、万博に一応の抵抗を試みたということは記憶しておきたい。だが、それが功を奏したかどうかはまた別の問題である。
資本主義は貪欲である。それは如何なる対立物もその内部に取り込むことを可能にしてしまう。私はここに資本主義のおぞましさを見る思いがした。
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テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
万博…
いや大阪万博…すみません、めっちゃくちゃ楽しかった事しか覚えが無いです(汗)。太陽の塔は強烈でした。
丁度親戚が当時関西に居たもので、小学生だった自分は二回連れて行って貰いました。人気のパビリオンは行列凄くて余り見れなかったけど、本当に「バラ色の未来」っていうか「SFの世界がすぐそこに!」というワクワク感が凄かったです。その後「石油ショック」が来るなんて思ってもみなかった(苦笑)
推理小説家の有栖川有栖が幾つかの作品で万博をモチーフにしてます。万博パビリオンそっくりの施設作っちゃう新興宗教組織とか。短編では「万博会場行きの臨時列車」に、子供の頃大の万博好きだった男が乗って消える話…ファンタジックで忘れられません。「あんな素晴らしい未来を予告しといてナンダコリャ」的な失望感は多分、自分と同世代には割と広く共有されているかもしれません。
【2012/11/14 01:23】 URL | ふぶら #- [ 編集]

万博の頃の日常生活
ただ万博の頃って、何か「バラ色の未来」を描きたくなるのも無理ないかなぁ?って処はあったかと。だって日本まだ貧しかったもの、今から比べると。
1970当時、うちのTVはまだ白黒でした。クラスの何人かは家に電話無くて「大家さんに呼び出して貰う」(呼)マークが緊急連絡網についてました。炭坑での大事故のニュースは恐ろしく、まだ集団就職列車の「金の卵」の報道もあったのではないかしらん。クーラーのある一般の家は…記憶に無いです。風呂無しの家庭も、風呂は有るけど風呂場無くて縁側に浴槽(風呂のふたの上が洗い場で登って身体洗う式でした)の家庭も珍しくなかったでした。今ある食品や日用品の内、当たり前のものがありませんでした。進学率だって低くて、まして女の子が大学進学の夢とか結構大胆、それこそSF以上だった…。
だから実は「バラ色の未来」は結構、部分的にだけど叶えられた訳です。今ガラケーでこのコメント打ちながら心底そう思うのです(笑)。
問題は「夢でなくなった叶えられた夢の始末の付け方」かもしれません。ワクワク感の埋葬方法と言いますか…
【2012/11/14 09:59】 URL | ふぶら #- [ 編集]

恥ずかしながら、拙者も
ふぶらさん。 

ええ、確かに。 

現在、40代半ばの私が子供の頃、島根県、母方の祖父母の家風呂は、五右衛門風呂で夏休みに帰省すると長男の私は毎日「風呂焚き」をやらされましたが、理由はよく解らなかったけども、面白かったです。  

杉並区在住の頃も風呂は、大家の風呂を借りるか銭湯でした。 

銭湯に行き湯ぶねに浸かるとなぜか周りの名も知らぬ頑固親父さん達が、「おい坊主、相撲はどうだった?」が合言葉でしたよん。 
現代社会にはない「コミュニケーション」だったのかも知れません。
 
しかしながら、「現代型貧困社会」もじわりじわりと進んで来ている様な恐怖を感じます。 

私自身が「綱渡り生活」ですから。
【2012/11/15 17:48】 URL | ダムド #- [ 編集]

Re: 万博の頃の日常生活
「バンパク」というと、マンジュウをパクついているようなイメージがある云々、と赤瀬川原平が書いていましたね(笑)
美術家でも反万博の運動=表現活動があって、運動自体の帰趨はともかく、今日的でユニークなテーマを多く提起したように思います。
【2012/11/16 00:54】 URL | のわーる #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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