時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
自らを語るという事について
「自伝」というジャンルがある。愚劣な自慢話は論外として、優れた自伝を物した人は数多い。サルトル、大杉栄、トロツキー、クロポトキン、リチャード・ライト等々、他、太宰治などの小説作品を含めれば数限りない。
率直に言うと、こうした自伝作家達の気持ちは、私にはよくわからない所がある。自らの人生を語るという事は、いわば「精神のストリップ」(澁澤龍彦)を演じるようなものだ。日々のブログなどの比ではない。己の痛ましい過去を直視し、傷口を曝け出すのは辛い事だ。
確かタルコフスキーは「幼年時代を悪く言う事は不可能です」と語っていた。そんなもんなのかねえ、と意地悪を言ってみたくもなる。勿論彼は、辛い思い出、嫌な思い出を含めながらこのように語っているのだろう。だが、彼のように達観するのはなかなか難しそうだ。あまり過去を直視すると目の前が真っ暗になる。、
サルトルは「幼年期は乗り越えがたい地平である」と述べたものなのだが。
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テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

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とんだ所に行っちゃった人(笑)
個人的に以前読んでびっくりしたのが「アーサー・ランサム自伝」。
A・ランサムといえば「ツバメ号とアマゾン号」で有名なイギリス児童文学者。湖沼地帯や近海を舞台に、子供達がヨットを操るアウトドア物語にはソリャァ子供時代、夢中になったものです…。で。
てっきり裕福な「イギリス知識階級」的な自伝かと思って読み始めたら全然違った!結構苦労人だし、何か仕事の手づる求めて的な展開で行っちゃったのが…革命前夜のロシア(^-^;
おかげで稀代の児童文学者の目から見た、ロシア革命のてんまつが切り取られた、貴重な歴史資料にもなっているという。「如何にもモンティ・パイソンの国の人」、何とも言えぬ余裕なユーモアがあって、命からがらの体験なはずだのに抱腹絶倒な箇所もあります。
そして帰国して「ツバメ号とアマゾン号」を書き始める処で終わっちゃう(笑)。「児童文学者としての苦悩や裏話、その理念」なぞを期待するむきを見事に裏切るひとの悪さ、かなり素敵です。
いい意味でブルジョワ的な、楽しいお遊びをのほほんと描く著者が、実は波乱万丈の苦労人とは…その落差も余裕から来るのでしょうか。「ユーモアの無いものは疑ってかかれ」という教訓を得た一冊でもあります。
【2012/09/25 07:13】 URL | ふぶら #- [ 編集]

Re: とんだ所に行っちゃった人(笑)
>アーサー・ランサム
小学生の頃、ロフティングの「ドリトル先生」シリーズに夢中でした。その流れでランサムの作品にも手を出したのですが、何故か興が乗らないまま、途中で投げ出した記憶があります。

>「ツバメ号とアマゾン号」を書き始める処で終わっちゃう
あーそれはお約束ですね。北杜夫の自伝シリーズも「幽霊」を完成させたところで終わっていたかと。
井上光晴の「虚構伝」も「書かれざる一章」に至るまでですね。尤もこの自伝はその名の通り、事実関係については嘘ばかりの可能性が高いので(笑)、注意した方がいいかもしれません。
あと、手元にコナン・ドイルの自伝がありますが、当分読む時間が取れそうにありません。残念(泣)。
【2012/09/27 00:18】 URL | のわーる #- [ 編集]

そうか「お約束」なんですね(にこ)
成程~「お約束」なんですね。北杜夫は「船乗りクプクプ」が好きでした。小学校6年生の時の愛読書でした。あっそうか。つまり自分は「海洋もの」が好きだったのかと、今、気がつきました(笑)。だからA・ランサムに夢中だったし、小学生の頃の憧れの男性像は「宝島」のシルバー船長と「海底二万里」のネモ船長でした。わかってみればミもフタも無いなァ(苦笑)
ところでランサム。実はMI6のスパイだったとか?更にはロシア人の奥さんがトロツキーに関係があって二重スパイだったとか?そんな話があることを割と最近知りました。「ユーモアのあるものは更に疑ってかかれ」(笑)。
でもランサムの描いたイギリスの湖沼地方は…文句なく素敵でした。地図がついているのが又面白くて…そしてそのまま「地図マニア」は、中学生になってトールキンの「指輪物語」の世界にどっぷりハマったっけ。
「地図入り物語」好きにはどうにもタマランのでした。ハイ、失礼しました。
【2012/09/27 02:22】 URL | ふぶら #- [ 編集]


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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
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