時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ガルシア・マルケス逝く
ガルシア・マルケスが亡くなった。
私がマルケスの名に初めて触れたのは中学三年生の頃、安部公房のエッセイ・対談集を読んだときのことだった。「死に急ぐ鯨たち」という書物である。一時期の安部が、マルケスだ、カネッティだと騒いでいたのをご記憶の方も多いだろう。
今では安部の評価を額面どおりに受け止めるつもりは無いが、少年期の私の心にマルケスの名は深く刻み込まれた。後に筒井康隆によるマルケス評にも接したが、同じことがいえる。
毎度同じ文句で恐縮だが、私はマルケスの良い読者ではなかった。安部や筒井に乗せられてのめり込もうとしたが、あの土着的な雰囲気がどうも馴染めず、「百年の孤独」も途中で挫折した。たしか中盤の鉄道が開通した辺りだと思う。結局、読んだのは「エレンディラ」などの短編と、「戒厳令下チリ潜入記」といった、ルポルタージュである。「愛その他の悪霊について」はこのブログでもレビューを記した。
マルケスについては「魔術的リアリズム」という言葉ばかり独り歩きしており、妙ちきりんな作風を持った作家というイメージが先行している向きがある。だが、今更ながら翻ってみると、その作品の奥には彼の地の複雑な社会背景と、行き詰った困難が透けて見える。彼の登場人物に、ゲバラやカストロなどの影を見出すことは難しくない(尚、マルケスはキューバを支持し続けた)。
今、本棚を漁ってみたが、未読の本がどこへやら埋もれてしまい、ちょっと見つけ出せない。「族長の秋」や「迷宮の将軍」など、見つかったらそのうちレビューしてみようかと思う。

スポンサーサイト

テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

地に足のついたファンタジー
太田昌国「極私的60年代追憶」、奥平康弘・木村草太「未完の憲法」を購入。レビューを書くとしたら、もう少し後の話になりそうだ。

友人と共にアニメ「新世界より」(原作:貴志祐介)を一日かけて観る。1000年後の衰亡した世界を舞台にしたSF作品で、児童間引き(殺処分)、記憶操作、非能力者への遺伝子改造と奴隷化などのディストピア世界が描かれる。周到な伏線を張り巡らせながら、次々と予想の上を行く展開に、とにかく圧倒されたの一言だった。
怯えた大人たちが子供たちを封殺しようとする点、対立する階級(?)への非人間視など、現代社会へ寓意と取れる点も多い。叛乱軍の首領は人格的には最悪であるが、その分、家族や恋人を殺された主人公の葛藤に共感できるような仕組みになっている。結末はほろ苦いが、骨太で重厚な構成を持った作品なので、もっと評価されてしかるべきである。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

超庶民的?
仕事絡みの野暮用があった為、一日中外出する。おかげで安倍晋三を渋谷で出迎えられず、残念と思っていた。
ところがこの男、直前になって予定を変更、朝方に日本橋の三越を訪れたらしい。セコい野郎だねぇ。実にいじましい。
思い出話をする。実は、小泉政権のときにも似たようなことがあった。彼が8.15に靖国を参拝するという話があったため、大勢で押しかけようと企画していたが、土壇場になって事前参拝してしまったという、拍子抜け。この手のかわし方は、権力者の常套手段である。

なーにが庶民の暮らしなんだか。100均のおつとめ品コーナーに喰らいつき、自分の時間を全て犠牲にしながら、クビにならない為に深夜までサービス残業を続けるワープアの気持ちなど理解するつもりも無いのだろう。レーニンを賞揚するつもりは無いが、この連中の給料については年収200万円程度にまで引き下げる必要がありそうだ。


テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

雑想-3.31
上橋菜穂子がアンデルセン賞を受賞したという。まずはよいニュースである。
上橋は「守り人」シリーズや「獣の奏者」でお馴染みの人で、土俗性を生かした特異なファンタジー世界を描いてきた。アニメ化された「精霊の守人」は、当たり外れの多いプロダクションIG作品の中でも、硬質な手触りのある傑作に仕上がっていたと思う。

袴田事件、漸く釈放に至った。事件から、あまりにも長すぎる時間が経過した。失われたものの大きさに慄然とするほか無い。この国には警察優秀神話が厳然として存在するが、有罪率99.9%というのは常識的に考えても異常というべきである。裁判所という司法の場が、機能していないということにもっと思いを致すべきだろう。

高橋伴明の映画「BOX袴田事件」に関する私のレビューはこちら。
http://noir731.blog106.fc2.com/blog-entry-209.html


テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌



プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



のわーるのつぶやき



最新記事



カレンダー

03 | 2014/04 | 05
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -



最新コメント



過去記事のアーカイブ



カテゴリ



最新トラックバック



2010年「国際ジュゴン年」



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



RSSリンクの表示



全記事表示リンク

全ての記事を表示する



FC2カウンター